どこでもない、ここしかない

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JUGEMテーマ:洋画

 

どこでもない、ここしかない

 

「どこでもない、ここしかない」

原題:No Where,Now Here

監督:リム・カーワイ

2018年 スロベニア=マケドニア=マレーシア

=日本映画 90分

キャスト:フェルディ・ルッビジ

     ヌーダン・ルッビジ

     ダン

     アンニャ・チルミッスイ

     アウグストゥス・クルースニック

 

スロベニアでゲストハウスを経営するフェルディ、

ヌーダン夫妻。事業を拡大していくにつれてフェルディ

の女遊びは激しくなり、遂にヌーダンは実家のある

マケドニアに戻ってしまうのだった。

 

観終わって感じたのは、ヨーロッパ映画の雰囲気でした。

(観始める前に感動したのは「梅田ブルク7」の

プレミアシートの座り心地の素晴らしさで、こんな

シートに座ったのは後にも先にも昨日が初めてです。)

ある人物の様子を美しい情景と共に淡々と描いていく。

そこにものすごく大きな事件や争いごとがあるわけでは

ないのです。ただ観ているとヒーリング音楽を聴いている

かのように心が穏やかになっていくのです。
今まで観た映画のメモをひっくり返して探したのですが、

同じ思いを持ったものはほとんどなく、敢えてあげるなら

「ダブリンの時計職人」(2010)「蜂蜜」(2010)

でしょうか。特に「蜂蜜」はストーリーに始まりも終わり

もなく、盛り上がることはないものの、BGM代わりに

使われる鳥のさえずり、虫の羽音、風、木の枝がこすれる

音などが幻想的な映像も加えて効果的に使われていました。
リム監督の作品は「FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ」を

昨年鑑賞し、大のお気に入りになっています。今回は

バルカン半島を舞台にトルコ系移民であるフェルディの姿を

描いていますが、バルカン半島にはこんな国々が位置して

います。日本から遠く感じますよね。

 

どこでもない、ここしかない
 

そして主人公のフェルディは本当に女好き。この映画では

登場人物がそれぞれ本人が演じているそうで、フェルディと

フルダンも実の夫婦だし、結婚式のシーンは本物だそうです。

男性専用祝賀パーティー、女性専用祝賀パーティーと分かれ

ているのも宗教色を感じます。
フェルディの女好きについては監督曰く「トルコの男性は

自分が女性にモテると思っていて、ハーレムを築きたいと

考える人も多い」とのこと。日本から観光に来た若い女性、

友人の恋人..。次々に心を惹かれていく様が映ります。特技は

ビリヤードで、教えるふりをして自分をアピールするみたい。

でも教えるほど上手くないし、だれもスカッとショットを

決めていないと思う。(Wiiでしかやったことのない人の

極めていい加減な感想)
また口説き方もわかり切った文句なので、日本人から見ると

「絶対に目的があるだろう」とみえみえなのです。一方、

ヌーダンとは冒頭に水辺で少しずつ近づいて行ったように

「本命」にはこのように接するのかと変な憶測をしてしまい

ます。この時の景色はまことに美しく、中国の川沿いを

映しているかのように見えるのです。
毎晩帰宅の遅い、いや朝帰りのフェルディを問い詰める

ヌーダンは決して怒鳴りません。静かにどこまでも静かに

怒りを心にため込んでいくのです。そして突然家を出る。

ここで一人黙々と皿を洗うフェルディの姿が映り

(監督自身はこのシーンが一番好きだそうです)ここから

ヌーダン探しの旅へ出発することを決めたらしい。
あるべき人がある日いなくなることには、ものすごい喪失感を

持つのでしょうか。わかるような、当然だろうと思うような

両方の気持ちです。映画内でしばしば登場する「橋」は誰かと

接する「場所」で「エスカレーター」は必ず「すれ違うもの」。

これは映画鑑賞後、指摘されて気づきました。平面では

出会えるが、上下では永遠にすれ違う。そこにいることが

すなわちその人の「存在」を意味していて、それが「場所」を

作るのだと少しだけわかったような気持ちになっています。
映画のチラシが欲しかったけれど、列に並ぶ時間がなかったので

入手できなかったことが残念です。

 

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泣く男

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JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

泣く男

 

「泣く男」

原題:No Tears for the Dead

監督:イ・ジョンボム

2014年 韓国映画 116分 R15+

キャスト:チャン・ドンゴン

     キム・ミニ

     ブライアン・ティー

     キム・ジュンソン

     キム・ヒウォン

 

アメリカのアジアン・マフィアの殺し屋ゴンは、

任務中1人の少女を射殺してしまう。心に大きな

傷を負った彼の次の任務は、ソウルに住む投資会社

取締役モギョンを殺害することだったが、彼女が

少女の母親だと知ってしまい...。


<お勧め星>☆☆☆ 派手な銃撃戦とアクションが

楽しめますが、ストーリーには疑問が残ります。


何に疲れているのか


監督は「アジョシ」(2010)のイ・ジョンボム。

あの映画では、今はとってもきれいな女性に成長した

キム・セロンと甘いマスクのウォンビンが共演し、

もうね、とにかくウォンビンがかっこ良くて、さらに

セロンちゃんの名演技に涙を流した覚えがあります。

孤独な少女ソミとこれまた孤独な男テシクの繋がり方が

極めて自然な流れだったことが、感情移入を誘ったと

思っています。
さて、この映画はどうでしょう。冒頭アメリカでの任務で、

華麗に銃を扱うチャン・ドンゴン演じるゴン。

(タンスにゴンかごんぎつねを思い出すのは日本人だけ)

彼が現場となるバーで最初から1人の可愛い少女に目を

向けることが不自然なのです。そもそもバーに少女がいる

のも不自然だけれど、その後彼の幼い頃の状況をなど

映されても、この少女に目を向ける理由が1つも見当たら

ないのです。

 

泣く男
 

そこは「この少女が純真で可愛いから」と考えたとしても、

たまたま任務中に誤射で殺害してしまったその子への罪悪感

が強すぎる気がします。自分にもこのくらいの娘がいる、とか、

この少女が自分の過去の姿とそっくりだというならまだしも、

ただ危険を感じて銃を発射したドアの向こうに少女がいたと

いうもの。さらに次の任務で韓国にいるモギョンという女性を

殺害することになり、その女性が少女の母親だと知ってからの、

モギョンへのゴンの執着が強すぎると感じてしまう。殺し屋で

あれば、血も涙もなく、色恋も捨てて任務を全うするのが筋だ

と思う。ここに絶対に納得できる「理由」が見当たらないので、

ストーリーの根幹が崩れてしまっています。

 

泣く男
 

モギョン役は「お嬢さん」(2016)のキム・ミニ。

あの映画では体当たり演技ですごかったですねえ。モデル

出身だけあって170cmの長身で颯爽と歩く姿はとても

様になっています。でも投資会社の敏腕取締役、認知症の

母親の介護、離婚した夫の元で暮らす娘がいる母親という

設定が盛りだくさん過ぎるのも確かです。特に認知症の母親

の存在は不要でしょう。

 

泣く男
 

そうそうゴンの仲間のチャオズ役のブライアン・ティーは

「ワイルド・スピード TOKYO TRIBE」(2006)の

タカシじゃないですか。あの日本語が上手くない日本人ですよ。

個人的にはチャン・ドンゴンより彼の方がタイプです。

(誰にも聞かれないけれど強調します)
一方映画内で発生する団地での銃撃戦は、棟をはさんですごい

勢いで撃ちまくるし、屋上にはスナイパー登場、ナイフや

ナタでアキレス腱切りするなど迫力満点、血しぶきオンパレード

です。ここは廃墟ではなく実は人々が多く住んでいるはずなのに、

他の住民は一切登場しないし、これだけの騒動があっても

パトカーが一台も来ないのです。すごく不思議。

 

泣く男
 

さらにどこで手に入れたか、ゴンはC4爆弾を爆破させるんです。

ソウルは無法地帯ですか?終盤のビル内での攻防はもう

「すごい」としか言いようがないです。こんなに大騒ぎに

なっているのに当然警官が1人もやって来ません。まあ、

アクション映像を楽しむのであれば、これで良かったし、

チャオズが銃口の向きをすっと外してエレベーターの

開閉ボタンを押すのもかっこよかった。ゴンがあそこまで

する理由がどうしても納得のいくものが見当たらないのが

残念です。

 

 

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特別捜査 ある死刑囚の慟哭

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JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

特別捜査

 

「特別捜査 ある死刑囚の慟哭」

原題:Proof of Innocence

監督:クォン・ジョングァン

2016年 韓国映画 121分

キャスト:キム・ジョンミン

     ソン・ドンヨル

     キム・サンホ

     キム・ヨンエ

 

暴力事件を起こし刑事をクビになったピルジェは、

法曹ブローカーに転身し、コネを活用して荒稼ぎ

している。そんな彼宛に、スンテという死刑囚

から無実を訴える手紙が届くのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 勧善懲悪の話の中にコミカルな

シーンもあって十分楽しめます。


習慣は抜けないもの


韓国映画は、警察、検察、政治家、財閥批判などを

コミカルに描きながら実際は鋭く切り込んだに内容で

日頃不満に感じている観客にとっては大変救われるもの

が多いです。サスペンス映画に関して言うと、実際の

事件を扱っているものも多く、「チェイサー」(2008)

「イテウォン殺人事件」(2009)「殺人の告白」

(2012)などは犯人がわかるものの捜査における

警察のいい加減さやその事件を取り巻く人間関係などを

上手く絡めて描いていました。一方で「殺人の追憶」

(2003)「あいつの声」(2007)

「カエル少年失踪殺人事件」(2011)は、未解決事件

を扱っているため、当然モヤモヤとしたラストになるわけ

ですが、そこに郷愁を感じる景色や歌などを挿入しており、

決して不完全燃焼に終わることはありません。

(でも犯人が捕まらないのは悔しい)

 

特別捜査
 

突然の逮捕劇で始まるこの映画は、容疑者スンテが前科者で

あり、明らかに冤罪だとわかっているのに、死刑囚になって

しまうのは、すべて韓国国内における力関係、つまり財閥が

最大限の権力を握っていることを伺わせます。

 

特別捜査
 

一方ピルジェは刑事であったものの、暴力的な捜査を行い、

ライバル、ヨンスに嵌められて、その職をクビになって

しまうのです。ついでにヨンスに暴行をしたことで賠償金等々

のために家まで取り上げられてしまった模様。そして今は

元検事に誘われて金儲け主義の法曹ブローカーになって

いるわけです。もちろん愛車はBMW。アメリカ映画でも

お金持ちさんはBMWに乗っていることが多くてメルセデス

よりも人気があるのかしら、といつも思うのです。乗ってみたい。
で、このピルジェとスンテがどうやって結びつくかというと、

そこに善意があったわけではなく、スンテの事件を担当した

のがヨンスであり、彼に復讐するために再捜査してみようと

思っただけのこと。すごいんですよ。「コネ」があるから、

警察資料も検死報告書も入手できちゃう。するとこの事件、

つまり「テヘ製鉄の嫁殺人事件」の奥にものすごい闇が存在

することに気づいてしまうのです。事件の名前も「嫁」などと

つけているし、この「嫁」が何か所も胸を刺されていたものの、

シリコン入りだったため、致命傷は1か所だったなどという

点もなんとも韓国らしい。いや日本でも実はそういうことは

起きているかもしれない。ただ「シリコン入りの

(生食パックかも?)胸を刺されたので命を落とさずに済んだ」

などとは発表されるはずもないですよね。

 

特別捜査
 

ヨンスへの仕返しだけだったピルジュの心が変わったのは、

スンテの娘ドンヒョンと幾度も会って会話をしたから、と

だけ考えるのは少し無理があり、自分自身の父が前科者で

そのせいで苦労したことを彼女に投影していたのかと考える

方が納得できるかな。

 

特別捜査
 

刑務所で死刑囚として過ごすだけのスンテにまで数々の力を

及ぼす財閥の力ってすごい。財閥の女史役は2017年に癌で

亡くなったキム・ヨンエ。大変美しいのですが、その中に

冷酷さを秘めた表情、行動は秀逸です。あちこちで起きる争い

に毎回ハラハラされつつ、ラストへと向かうとこれはもうスリル抜群。
「習慣は抜けないもの」ということを実感します。さらに

「恥」の認識を再びそして強く確認するピルジェの一言が胸を

打ちます。「恥の意識」は本当に大事なことなんです。
多少ツッコミどころがありますが、見ごたえのある映画でした。

 

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愛の亡命

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JUGEMテーマ:洋画

 

愛の亡命

 

「愛の亡命」

原題:Despite the Falling Snow

監督:シャミム・サリフ

2016年 イギリス=カナダ映画 94分

キャスト:レベッカ・ファーガソン

     サム・リード

     アンチュ・トラウェ

     オリバー・ジャクソン=コーエン

 

1961年、ニューヨーク。アメリカを訪れた

ソ連使節団の1人サーシャは突如アメリカに亡命

する。1992年同じアメリカ。サーシャの

姪ローレンが展覧会開催のため、ロシアへ向かう

話を聞き、彼は妻カティアを思い出すのだった。


<お勧め星>☆☆☆ スパイ物と思っていたら、

ほぼほぼ悲恋物語でした。


雪が降っているのにもかかわらず


映画は冷戦時代のソ連とそのソ連崩壊後のロシアと

アメリカのシーンが、行ったり来たり映ります。

 

愛の亡命

 

その中で際立って美しいのが、1959年当時ソ連で

学校教師をしていたカティヤを演じるレベッカ・ファーガソン。

「ミッション:インポッシブル/ローグネーション」

(2015)より「ガール・オン・ザ・トレイン」

(2016)でヒロインの元夫の現在の妻アナ役を

演じていたことの方が印象的です。なんせスタイルは抜群、

そして整った顔立ちは美人そのものなんです。

 

愛の亡命
 

愛の亡命

 

この映画では主役のサーシャの姪ローレンも演じているの

ですが(下の写真の向かって左側)メイクや髪型、

ファッションですっかり印象が変わってしまうのだと実感。
ストーリーは1959年、ソ連の政府高官だったサーシャが

教師であるカティヤを好きになり、ほどなく結婚するも、

実は彼女はサーシャの同僚ミーシャ

 

愛の亡命

 

(サーシャ、ミーシャって猫の名前みたいに感じるけれど、

アレクサンドル、ミハイルの愛称)の指示で動くアメリカの

スパイであり...と割とありきたりなもの。カティアの両親が

反体制派だったことで処刑されたことなども拘束のシーン

のみ映像になっているだけであとはセリフで表されます。

彼女が11歳の時に両親が連行されたこと考えると

「チャイルド44」に書かれていたように国家保安省(MGB)

が反体制派を次々に摘発し、拷問、処刑した時代で、その

凄まじさは映像にしなくてよかったかもしれません。ちょっと

疑問なのは兄はアメリカに亡命し、カティアは教師という職に

就いていることで、孤児たちがひもじい暮らしを強いられて

いたのではなかったのか、これは特別なんじゃないかとか考えて

しまう。
冷戦時代のソ連ではしんしんと雪が降り、凍え切った空気感を

覚えるのですが、1992年のロシアは暖かい日差しが降り

注いでいます。敢えてそのように描いたのでしょうか。また

サーシャの姪ローレンの行動力溢れる姿が、30年という時の

変遷を感じ、彼女がロシアの政治記者マリナと恋に落ちかける

姿を見ても、自由な時代になりつつあったのだと感じるのです。
そこで冒頭から一切語られていなかったカティヤの消息はどう

なっているのか。冷戦時代、ソ連からアメリカに亡命すれば、

残された家族はおろか上司、同僚すらも責任を免れなかったと

推測するのは当然なのです。ただなぜサーシャは亡命したのか。

またカティヤはなぜスパイ行為を行い続けたのか。様々な謎が

解けてくると、まさに「悲恋話」と思ってしまいます。これが

サーシャがスパイでカティヤが何も知らないという逆の立場

だったらどう描かれたのでしょうか。
やはりスパイ物にはスリルとアクションが欲しいし、本物の

恋愛を混ぜ込むと何とも甘ったるくなってしまうなあという

のが本音です。

 

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インビジブル・ゲストー悪魔の証明

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

インビジブル・ゲスト

 

「インビジブル・ゲストー悪魔の証明ー」
原題:Contratiempo
監督:オリオル・パウロ
2016年 スペイン映画 106分
キャスト:マリオ・カサス
アナ・ワヘネル
ホセ・コロナド
バルバラ・トニー
フランセスク・オレーリャ

 

青年起業家アドリアンは、愛人ローラ殺害の罪で

起訴される。その彼を弁護するため敏腕弁護士

グッドマンがやって来るが、彼女は彼に対し、

隠していることをすべて話すように迫るのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 状況が二転三転しつつ、

やっぱりねと思うけれど面白いです。


演劇仲間だったがカギ


「インビジブル」(2000)はケヴィン・ベーコン

主演のSFスリラー映画で、透明人間になったものの元に

戻れなくなった男が好き勝手しまくる内容で、VFX技術が

とても上手く使われていました。「ザ・ゲスト」

(2014)はダン・スティーヴンス主演のウルトラ

不気味な映画で、突然訪れたゲストがまさに不死身の

姿を見せつけます。ダン・スティーヴンスがイケメンな

だけに怖さ倍増(いや別に顔にこだわらないけれど)

かつかなりグロ映像もあったはず。
もちろん邦題はこの2つを合わせたような感じだけれど、

もちろん全く異なる内容であり、そもそも原題の意味が

「不慮の事故」..。これもまた地味。

スペイン映画で「悪魔」とつけばオカルト映画を必ず想像

しますね。もちろん全く関係ありません。
監督は「ロスト・ボディ」(2012)の

オリオル・パウロ。わたしは個人的にこの映画が大好きで、

トリックに全く気づかなかったのとヒロインの女優さんが

とてもきれいなのが印象に残っています。こんな感じ。

 

ロスト・ボディ
 

今回の映画も派手な映像はなく、トリックにトリックを

重ねた内容でしっかり見ていないと、いや見ていても

騙されるんです。登場人物は少なく、若手起業家

アドリアン・パウロ、愛人ローラ、そして彼の顧問弁護士

とその推薦でやってくるグッドマン弁護士、あとはある

事故の被害者の両親です。シーンも少ないんですよ。ほぼ

ホテルと回想シーンのみで動きも少ない。

 

インビジブル・ゲスト
 

インビジブル・ゲスト

 

インビジブル・ゲスト

 

それでもうまいと思うのは、前半から中盤にかけての伏線の

張り方とアドリアンとグッドマンの会話が進むうちに、

見ている側のアドリアン像がどんどん変わっていくことです。

愛人とは割り切った関係で妻子を大切にするアドリアン。

富も名誉も持っている。しかし隠してあった事実が露呈する

につれその姿は本当に醜悪なものの思えてきます。
但しサスペンス映画を見る人なら最初からピンとくるものが

あって、絶対に胡散臭いんだから確認した方がいいと思って

しまうけれど、人間追いつめられるとこうなるものだろうと

納得してしまうのです。
嘘に嘘を重ねていくと、結局の残るのは真実であって、自らの

手で首を絞めていくのだなあというのが実感。
こんな風に悪行が駆逐されていくといいのにね。
とてもおもしろいのでお勧めです。

 

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誰のせいでもない

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JUGEMテーマ:洋画

 

誰のせいでもない

 

「誰のせいでもない」

原題:Every Thing Will Be Fine

監督:ヴィム・ベンダーズ

2015年 ドイツ=カナダ=フランス=スウェーデン

=ノルウェー映画 118分 PG12

キャスト:ジェームズ・フランコ

     シャルロット・ゲンズブール

     マリ=ジョゼ・クローズ

     ロバート・ネイラー

     レイチャエル・マクアダムス

 

雪道を車で走行中、ソリに乗った子供をひき殺して

しまったトマスは心に深い傷を負い、自殺未遂騒動

まで起こす。幸い命には別状はなく、彼はそれ以後

小説家として再スタートをきる。2年後彼が現場を

訪れると被害者の母親ケイトと会い、彼女の力に

なることを約束するが...。


<お勧め星>☆☆半 ストーリーに起伏がなく、最後

まで見続けるのが結構しんどい映画です。


眠くなるのは誰のせいでもない


監督は巨匠と呼ばれるヴィム・ベンダーズ。ところが

調べてみると彼の映画は1つも見ていないことに

気づきます。ただこの「誰のせいでもない」は新聞の

映画評を読んでとても興味を惹かれていたので期待大

で鑑賞しました。余談ですが「誰も知らない」(2004)

は主演の柳楽優弥君の演技が素晴らしかった。彼が一度は

一線を退いたものの戻って来てからの演技はまさに熟成

されたという感じです。最初から主役をもらってその人

ありきの映画などに出ていては演技力は磨かれていかないのだ、

ブーブー。「ゆとりですがなにか」なんかは永久保存版です。

あ、話がそれたので、はい戻す。大体この映画の原題は

日本語に訳すと「何もかもよくなるだろう」だしね。
主役は「127時間」(2010)のジェームズ・フランコ。

この人ずいぶん逞しくなったのかそれともただ大きくなった

だけなのか。「スプリング・ブレイカーズ」(2013)

のチャラくていい加減な男役はすごく似合っていたなあ。

その恋人サラ役はレイチェル・マクアダムスで、
大好きな「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」

(2013)の主演女優さんです。そしてトマスに息子を

ひき殺された母ケイト役はシャルロット・ゲンズブール。

 

誰のせいでもない

 

「アンチ・クライスト」(2009)で熱演をし、

「メランコリア」(2011)でも存在感を見せましたが、

何となく病的で薄幸なイメージがあります。ちなみにどちら

の映画も見ましたがほとんど意味が分かりませんでした。

 

誰のせいでもない
 

始まりはサスペンス映画のようで、雪深い道を車で走っている

トマスは、急にソリで滑り降りてきた子供に気づき急ブレーキ

を踏みます。あ〜絶対にやっちゃったよな。おそるおそる外に

出ると、車の真ん前にソリに乗った子供がいます。

「おおう、よかった」と思ったのは束の間で、そのクリストファー

を肩車して家まで連れて行くと、母親ケイトが「ニコラスは?」。

そして雪道に響き渡る悲鳴。そうなんです。子供は2人いたん

ですよ。これを発端に愛憎劇が始まるのか、もしくは復讐劇が

始まるのか。いやそんなありきたりなストーリーではありません。

ほぼほぼトマス視点で映画は進みます。
サラとやり直そうとしていた(子供が欲しいサラと小説を

書きたいトマスは不仲)

→事故のショックで別れる

→自堕落になり自殺未遂

→サラに頼る。(キミしかいないんだ、だって)

ここまで見ているだけで彼の自己中心的な考え方が伝わり

ますね。では、一方のケイトはどうだったか。そこは音も

流れず、毎日涙にくれる姿が映るだけなのです。これは

「不公平」だとこの時点で思ってしまう。
そしてこの映画の特徴は、2年後、4年後という単位で

話が変わっていくところです。なぜ2年、4年なのか。

それはトマスが小説を書きあげるのに要する時間がそれ

だけだから。(だと思う)
事故後小説を書く筆が進み、それが認められてもサラとは

不安定な関係であり、逆に子持ちのアンと出会うのです。

 

誰のせいでもない

 

トマスは「子どもがいらない」と言っていたのにケイトには

「子どもができない」と言っていたけれどそれはどちらが

正解だろう。そして2年後やっと事故現場を訪れるとそこで

ケイトと会うわけです。実はケイト自身は、トマスを責めず、

自分を責め続けていたのです。あの日もっと早く家に呼び

込めばよかった。本が面白すぎて子供を放っておいて

しまったと。ここで気になるのはケイトの家では必ずハエが

飛ぶ音がすることです。家でなくてもケイト自身や終盤に登場する

クリストファーにもハエはついてきます。これに意味が

あるのでしょうか。ずっとトマスの周りにまとわりつくうるさい

ハエのような存在という意味でもないらしい。
とりあえずトマスは事故をきっかけに小説家として成功を

収めていき、12年経ったとき、再会したサラに「平手打ち」

をくらうのです。このサラ自身の苦悩が一切描かれていない

のも特徴的ですね。その上、手紙をもらい更にはケイトの

電話でようやく会うことになったクリストファーには

「不公平だ」と責められます。その通りなんですよ。トマスは

自分のことしか考えず、周りに心を配っているようで実はその

都度自分のために利用してきたわけで、今の成功も自分の力

だと考えているんですから。
彼は12年経って変わったんだろうか。変わったんだろうね。
冒頭の釣り小屋のシーンの映像は何かが降り注いでいるように

光が映り、な、な、なんと3D上映されていたと知って、あれは

それを意識したのかと思ってしまいました。それぐらいしか

3Dにするほどの映像はなかった気がするけどなあ。

いや見る人にはわかるんだろう。

 

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はじまりへの旅

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はじまりへの歌

 

「はじまりへの旅」

原題:Captain Fantastic

監督:マッド・ロス

2016年 アメリカ映画 119分 PG12

キャスト:ビゴ・モーテンセン

     フランク・ランジェラ

     ジョージ・マッケイ

     サマンサ・アイラー

     アナリース・バッソ

 

ベンと子供たち6人は森の中で自給自足の生活を

送っている。しかし病気のため入院していた妻が

自殺し、彼らは葬儀に出席するために街へと出て

いくが...。


<お勧め星>☆☆☆半 何が幸せか深く考えさせ

られる映画です。


理想の敗北は新たな一歩


見終わったときに感じたのは、主人公のベンはいったい

何を悟ったのだろうかということ。それは冒頭から

見せられる森の中で外界との接触をほぼ遮断した一家の

生活、狩猟に始まり、体力作り、そしてひたすら難しい本

を読む。全て父であるベンの設定したルールであり、

(妻も納得していたはず)それらを6人の子供たちが

極めて優秀な頭脳と運動能力をもってこなしていくわけです。

 

はじまりへの歌
 

「うわ〜すごい。こんなこともできじゃうんだ」じゃないのよ。

大体映画内で、ノーム・チョムスキーという人物を口にされた時、

全く知らない人物でさっそく調べてしまいました。彼は現存の

哲学者であり、「現代言語学の父」と評され、ベトナム戦争の

有名な批評家であったとのこと。哲学といえば大学の時、最も

単位がとりやすい講義で、コマ数の足りない学生は講義に

出なくても試験さえ受ければ単位をくれるということでこぞって

とっていました。(私もその一人)おじいちゃん教授が、とっても

小さな声で話す内容は今一つも頭に残っていません。ただ覚えて

いるのは、試験の時、できた学生から退出していいという決まりで、

多くの学生が退出したのですが、最後まで残っていたら

「早く出してください」とその教授に言われたことです。その

穏やかな教授が唯一声を荒立てたのは、違う講義を行う教授が

学生と遊びで付き合っているという話をした時ですね。

ああ、この話は本当だったんだ。そしてこの先生は学生では

なくその教授に対しものすごく腹を立てているんだと肌で感じ

ました。今思うと極めて倫理観の高い方だったのだ、もっと

しっかり講義を聞いておくべきだったと後悔しています。
この映画ではこのチョムスキーを含め、とても難しい事柄を

末の子供まで知っており、それについて自分の考えも述べる

ことができるのです。但しこれには父の思想が大きく関わって

いることも確かで、それが全てじゃないことをいつか知ること

ができるのかと途中で心配になりました。

 

はじまりへの歌
 

ある意味「楽園」であったはずのこの森の一家は、妻レスリー

が精神を病み、そして自殺してしまったことで急変します。

彼女の遺言通りに葬儀を行いたいベンは、子どもを連れて

街に向かうわけです。なぜレスリーが精神を病んだのか、

映画内ではベンの口からでしか理由は語られません。それは

ベン自身もわからなかったんだろうなあ。

 

はじまりへの歌
 

客観的に見るとかなり裕福な家庭の一人娘レスリーが親に

反発し、いわゆるヒッピーのような青年ベンと暮らし始めた

ものの、子どもが生まれた時、自分たちの求める理想を

その子供に押しつけることが正しいのかどうか深く悩んだ

のではないでしょうか。映画内で「任務」と称される万引き

行為は、実社会では明確な犯罪であり、また武器や格闘で

身を守ることが本当に重要なのかは、誰も判断できないと

思うのです。したがって自分たちのルールを守るためには、

一生森で暮らさなければならず、それは「何も知らない」

人生を子どもたちに送らせることを意味するのではないか。
序盤からずっと持ち続けた違和感は、終盤にようやく解消

されます。何でも知っていると思っていたベンが実は

「何も知らなかった」ということに気づくわけです。しかし

彼は間違っていたとは思えない。「現実」だけに生き続ける

よりも「理想」を追求し、その2つをその時々上手に折り合い

をつけて行くことが人間なんじゃないのかなと思っています。

とても難しいことだけれど。

 

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セル

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JUGEMテーマ:Horror

 

セル

 

「セル」

原題:Cell

監督:トッド・ウィリアムズ

原作:スティーヴン・キング

2016年 アメリカ映画 98分 PG12

キャスト:ジョン・キューザック

     サミュエル・L・ジャクソン

     イザベル・ファーマン

 

 

ボストンの空港で携帯電話を使用していた人々が

突然怪電波を聞き、正気を失い暴れ始める。

辛うじて難を逃れたクレイは、別居中の妻と息子の

元へ向かおうとするが...。


<お勧め星>☆☆半 中盤まではワクワク見られるの

ですが、後半失速します。


携帯人になった


スティーヴン・キング原作の映画はたくさん見ていて、

個人の好みで分けると
●絶対お勧め 「キャリー」(1976)

「シャイニング」(1980)

「スタンド・バイ・ミー」(1986)

「ショーシャンクの空に」(1994)

「IT/’イット’それが見えたら終わり」(2017)
●お勧め 「クリスティーン」(1983)

「デッド・ゾーン」(1983)

「ペット・セメタリー」(1989)

「ミザリー」(1990)

「IT」(1990)
●ちょっとがっかり 「1408号室」(2007)

これは劇場鑑賞したんだけど貸し切り状態でそちらが

怖かった。

「ミスト」(2007)
この中で「キャリー」は2013年に

クロエ・グレース・モレッツ主演でリプートされましたが、

なんせオリジナルが素晴らしい出来なのです。

主演のシシー・スペイセクのか弱い、貧弱な体つきの

少女がこの役にぴったりでした。

さて、この映画はかなりハードルを下げて見たので

それほどつまらないとは思わなかったのですが、

見終わっても何もわからないのです。見事にわからない。

空港で携帯電話で通話する人々。これは今どこでも

見られますね。この中にジョン・キューザック演じる

クレイもいるわけです。ちょっと間延びした顔立ちですが、

「フローズン・グラウンド」(2013)のような

猟奇殺人者を演じさせたらすごく怖いんです。で、この

クレイの携帯だけ「ああバッテリーが亡くなっちゃたよ。

せっかく息子と久しぶりに話せたのに」
てなわけで、携帯を切り公衆電話で話し始めるのですが、

そうすると周りの人々が突然泡を吹いて痙攣し暴れ始める

んです。

 

セル
 

もう訳わかりません。飛びかかる者、殴りつける者、噛み

つく者、銃だってぶっぱなしちゃう。なんせアメリカです

からね。クレイは地下鉄まで逃げて、そこで

サミュエル・L・ジャクソン演じるトムと地下を移動する

んです。ゾンビのような変貌を遂げた人々は、どんどん

襲ってきます。でも一旦倒すと生き返らないのでゾンビでは

ないですね。

 

セル

 

セル

 

奴らは電波を通じて「感染」した人たちで、奴らが「電波」

を発して他人に感染させていく、ということが分かる前に、

ものすごいシーンの連続です。これはちょっとホロコーストを

思い出させるんじゃないかな。見ていて気分が悪い。
それから逃げているうちにまともな人間が「仲間」として

加わるのですが、それが一人また一人と死んでいくんです。

あれ〜、誰が生き残るんだろう。
この辺りからノロノロし始めて、ドア1つ開けるのにも、

とにかくノロイ。後半は怒涛の勢いでシーンを繰り出して

ほしいのに、前半の勢いがシュっとすぼまる感じです。

その上摩訶不思議なラストでございます。何がどういう

きっかけで起き、それがどうなっていくのか、いやどうなったのか

ちょっと誰か説明してください。

広げた風呂敷はしっかりたたんで返しましょう。

 

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メッセージ

2

JUGEMテーマ:SF映画 一般

 

メッセージ

 

「メッセージ」

原題:Arrival

監督:ドゥニ・ビルヌーブ

2016年 アメリカ映画 116分

キャスト:エイミー・アダムス

     ジェレミー・レナー

     フォレスト・ウィテカー

     マイケル・スタールバーグ

     マーク・オブライエン

 

ある日、全世界に12隻の謎の宇宙船が出現する。

言語学者のバンクスは物理学者のドネリーと共に

軍の要請で、船内にいる宇宙人との対話を試みるが、

彼らが発する言語らしきものは極めて難解なもので

あり...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 見終わってからゆっくり

考えると心の底から感動する映画です。


言語と時間


監督は「プリズナーズ」(2013)「ボーダーライン」

(2015)そして「ブレードランナー2049」

(2017)のドゥニ・ビルヌーブ。「プリズナーズ」

では、ヒュー・ジャックマン演じる父親が、誘拐された

娘を助けるため、あらゆる手段を用いて行動する姿に

ハラハラしながら、ラストに響き渡るホイッスルの音が

効果的に使われていました。「ボーダーライン」は一言で

言うと巨悪を倒すためには悪を用いるのも仕方なしと

いうところでしょうか。その「悪」の大きさの区別は

誰がどういう立場で行うか極めてあやふやなものである

ことが、ただただ空しく感じられました。

ベニチオ・デル・トロの存在感がすごかったなあ。

そして巷で好評の「ブレードランナー2049」のみ

未見です。
さて、この映画は、見終わるとまず覚えるのは「時間」と

いうものへの「違和感」です。原作はテッド・チャンと

いう方が書いた「あなたの人生の物語」。この題名から

わかるように、内容が単なる宇宙船が出現したという

SFではないのです。

 

メッセージ

 

しかしあの宇宙船の形は何なんだろう。監督自身が

「「ばかうけ」に影響を受けたものだ」

と公開直前に語ったのは素晴らしいジョークですね。

また映画内に登場する宇宙人の姿は、顔のないタコのようで、

急に触手が伸び、墨のようなものを出して「文字」らしき

ものを描く。この発想は斬新です。

「われわれはうちゅうじんだ」などと喉にを叩きながら

言葉を発するのが宇宙人と思っているあなた、間違って

いますよ。

 

メッセージ
 

そしてこの「文字」らしきものを読み解くのが、言語学者

バンクスと物理学者ドネリーなわけですが、この宇宙船が

全世界に12隻同時に出現したことから、それぞれの国で

対応が異なるのは当然のこと。映画内では一応中盤までは

情報を共有して協力し合うのです。ところが「地球征服」

が目的ではないかという脅威が根底にある人々が多いことは

確かなことで、その協力体制が崩れてしまうと俄然スリルに

満ちてきます。とはいえ時折、いや冒頭から映っていた

バンクスの娘の誕生から死までのシーンは何の意味を持つの

でしょうか。
SF映像に気を取られて、宇宙船の内部やその目的を知ろうと

悩んでいると、そのことをうっかり忘れてしまうのです。

それが一挙に回収されるのがラスト10分くらいでしょうか。

 

メッセージ
 

バンクスが宇宙人の言語を理解する際、彼らの文字は

「表意文字」で、思考は話す言語で形成されると言った時を

思い出しましょう。そして彼らがバンクスに残した

メッセージ(世界のあちこちで宇宙人をコンタクトを

試みた人々にも残ったのだろうか)を知ると、この映画の構成が

ものすごく良くできていると実感するんです。そんなのありか!

アガサ・クリスティーの「スタイルズ荘の怪事件」「カーテン」

のように2度と使えない手法だと、ちょっと憤慨しつつ、

その数倍も感動してしまうのです。
「パッセンジャーズ」(2016)などを見ないでこちらを

先に鑑賞すべきでした。

 

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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

アイ・イン・ザ・スカイ

 

「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

原題:Eye in the Sky

監督:キャビン・フッド

2015年 アメリカ映画 103分

キャスト:ヘレン・ミレン

     アーロン・ポール

     アラン・リックマン

     バーカッド・アブディ

     ジェレミー・ノーサム

 

イギリス軍のパウエル大佐は、ケニア、ナイロビ

にいるテロリストの捕獲作戦を指揮していた。

しかし彼らのアジトで自爆テロの準備が行われて

いることを知り、無人機によるミサイル発射を

決行しようとするが...。


<お勧め星>☆☆☆半 よくできた映画だし、俳優陣

の演技も素晴らしいです。でも現実はもっと冷酷

だろうと思う。


戦争において正義などない


無人偵察機「空の目」で標的を追い、特定できたら

遠く離れた国から遠隔操作のドローンでのミサイル

発射ボタンを押す。目の前には破壊された光景が広がる。

そんな映画は、イーサン・ホーク主演の

「ドローン・オブ・ウォー」(2014)で描かれて

いました。あの映画では、その無人機のパイロット

(実際に乗っているわけではない)が心を病み、家族を

失っていく様を絶望的に映し、戦地で直接戦うこと

なくして人間の命を奪うことは、直接戦ったことと同じ

意味を持つと訴えていたように思います。

 

アイ・イン・ザ・スカイ
 

アイ・イン・ザ・スカイ

 

アイ・イン・ザ・スカイ

 

この映画では、いわゆる「キル・チェーン」つまり、

パウエル大佐指揮下のイギリス軍の対テロリストチーム、

国家緊急対策委員会、アメリカの空軍基地、アメリカ政府

などが共に標的排除に向かう姿を描いています。実際に

発射ボタンを押すのはネバダ州の空軍基地にいる若い軍人で

あり、男性は学生ローンの返済のために働いている。笑顔で

軽口を叩いていられたのは映画の序盤ののみです。

 

アイ・イン・ザ・スカイ
 

「捕獲作戦」だったはずが、ケニアでの「鳥の目」そして

「虫」により標的の家で自爆テロの準備が進められている

ことがわかると、パウエルはこの後必ず決行される惨劇を

防ぐと共にテロリストを排除する絶好のチャンスと捉える

のです。しかしたまたまその家の前で少女がパンを売り

始めてしまう。この少女を巡って、攻撃することに法的、

政治的に問題がないか各部門での判断が分かれてしまう。

一人の少女を救うか、テロによる犠牲者を防ぐか。命の

価値は同じとはいえ、そこに持ち出されるのは、その

攻撃が世界から非難されないか、民間人の死でテロリストに

「大義」を与えてしまはないかなどという全く異なるレベル

の話なのです。

 

アイ・イン・ザ・スカイ

 

アイ・イン・ザ・スカイ

 

これらが、テロリストのアジトの内部カメラ、「空の目」

から見た少女の姿、そして遠く離れた場所で決定権を話し

合う軍人や政治家を次々に映し、こちらの緊張は高まる

ばかりです。こういう戦争はもうとっくの昔から始められ

ていて、映画になってようやく知るというのも恐ろしいし、

実際はもっと冷酷で、目的のためには手段を選ばず、犠牲

への配慮などみじんもないに等しいのではないかと思って

しまいました。その辺りはナイロビで英米軍のスパイの

ような行為をさせられる現地人の扱い方からも伺えます。
「付随的損害の推測値」なんて、ただの計算上の数に

過ぎないことは誰だってわかるというもので、それは

いくらでも自国の有利な値に変えることもできるのです。
とてもよくできた映画ですが、やはり戦争映画は見終わって

気分が良くないです。そしてこの映画がベンソン中将役の

アラン・リックマンの遺作となってしまったことは本当に

残念です。

 

 

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