トリック劇場版 ラストステージ

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トリック

「トリック劇場版 ラストステージ」
監督:堤 幸彦
2014年 日本映画 112分
キャスト:仲間由紀恵
     阿部 寛
     生瀬勝久  
     野際陽子
     東山紀之


天才物理学者、上田の元へ商事会社員、加賀美
がある依頼を持ち込む。それはレアアース採掘
計画の障壁となっている現地の呪術師の謎を
暴くというものだった。彼は山田を連れて現地へ
向うのだが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ シリーズ完結編。よかった。

最近見た「SPEC 結」よりずっとおもしろいじゃん。
冒頭、天才物理学者、上田次郎の元へ、村上商事の
加賀美慎一という男がある依頼に訪れるのです。この
役は東山紀之。ズボンあげすぎ。
村上商事→村上ショージ、なんて小ネタから始まるも
すぐに1名が呪術師の預言通りに死亡。レアアース
採掘の中止を求めて呪術師が呪いをかけたと言うの
です。早速上田は山田奈緒子を引き連れ(彼女はパス
ポートがないから、出国まで時間がかかる)一路赤道
直下の国へと向かいます。どうもマレーシアらしい。


トリック

そして川島という資源開発業者と谷岡という医師も
同行します。この谷岡役の北村一輝がオネエ医者を好演。
なぜにオネエ?と思いますが、内股走りや上田への色目
使いは笑っちゃう。
そして現地のムッシュム・ラー村では、なぜか矢部が村人
に捕まっています。彼は部下と共に例の村上商事での事件
を調べるためにやって来た模様。かぶりものを取らないと
通ってはいけない場所をそのまま進んだから、というのが
拘束の理由だって。最後までここを強調ですね。そして
山田の機転で矢部が逃げ出せると、村人たちが

「SPECホルダーだ」

と現地の言葉で言っている。どこまでおもしろいんだい。
さて、この、村の呪術師ボンイズンミ役は、水原希子。


トリック

彼女はオスカーゴリ押し女優の1人だけれど、無気味な役が
似合うんだよね。このお面の下は誰かな〜と考えていると、
あの顔が出る。メイクがよくマッチしています。この場所を
訪れる日本人の言葉から覚えた日本語が、男だか女だか
わからない言い回しをしたりして、その脚本もおかしいです。
そして川島が呪いによって?殺され、ボンイズンミを襲った
谷岡も何かに襲われます。谷岡のその時の動き方は、

「SPEC」でミイラから復活した吉川のものと同じ。うまい!
結局、川島、谷岡が死に至る経緯には、あるからくりがあった
のですが、それに気づくのはもちろん山田です。
ラスト付近の地底での爆発シーンは、冒頭の山田へのドッキリ
爆発シーンをよく覚えておくと、ふふーんと納得します。
でもエンドロールの後の本当のラストシーンは、シリーズの
14年を思い起こさせるもので、結構感動?しました。




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パレード

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パレード

「パレード」
監督:行定 勲
2010年 日本映画 115分
キャスト:藤原竜也
     貫地谷しほり
     香里奈
     林 遣都
     小出恵介

連続女性殺人事件が頻発する地区のマンションで
ルームシェアをしている直輝、琴美、未来、良介。
ある日、未来が酔った勢いでサトルという青年を
連れ帰るのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 登場人物の個性が上手く表れて
いて、それがラストに空恐ろしく感じられるのです。


原作は吉田修一の同名小説ですが、未読です。なので
先入観なしで鑑賞。
冒頭、連続女性殺人事件のニュースがテレビから流れる
部屋で、眉毛を抜く琴美が映ります。この役は貫地谷しほり。
その前に上空を飛ぶヘリコプターの音で目を覚ます良介
がいたか。この役は小出恵介。彼は一応大学生らしいけど
特に真面目に勉強している風でもないです。で、琴美と
同棲しているのかと思ったら、他にも映画配給会社勤務の
直輝やイラストレーター志望の未来が住んでいて、つまり
4人でルームシェアをしているわけです。


パレード

この4人がいつから、そしてどういう理由でルームシェアを
始めたのかは一切描かれません。直輝役の藤原竜也の演技は
もう安心の域に入っていますが、未来役の香里奈が素で演技
しているようで、ちょっと前にあった彼女のスキャンダルを
思い出しちゃった。プッ!
ある朝、その部屋にサトルという青年がいるのですが、誰もが
普通に接します。誰が連れてきたのか、なんでここにいるのか、
皆ほとんど関心がないんですよ。いや関心があるように見せない
のかな。サトル役の林遣都はお尻を見せすぎ。でも可愛い。


パレード

隣の部屋は売春宿だと思い込み、琴美にそそのかされて潜入
したり、先輩の恋人に二股かけられても平気な良介、人気俳優
との秘密の恋にのめりこんでいる琴美、父親の暴力に怯えた
子供時代をひきずる未来、そして男性相手の商売をしている
サトル。直輝は唯一、この部屋で皆に頼られ、自分がここでは
優位に立っていると考えているわけです。

この5人が、誰にも知られたくないし、知られるはずもない秘密
は実は、他の住人は全部知っていて、そのことにお互い気づいて
いないだけということを終盤に知ります。
それは中盤にサトルが
「あの部屋の住人はバカばかり。でもなんか居心地がいいんだ」
という言葉からもうかがえるのです。
そしてラストに4人から直輝に向けられた鋭い視線。未来の
「直輝も行くよね」
という言葉は、「居心地のいい場所」=「抜けられない場所」
であることを意味していたのでしょうか。

幾つもの宇宙があり、誰もが知っている「真実」というものは
そこには存在しない。わかったようなわからないような。でも
なかなか面白い映画でした。



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武士の献立

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武士の献立

「武士の献立」
監督:朝原雄三
2013年 日本映画 121分
キャスト:高良健吾
     上戸 彩
     余貴美子
     西田敏行
     夏川結衣
     成海璃子

江戸時代、加賀藩江戸屋敷で女中として使えるお春
は、料理方の舟木伝内にその才能を買われ、跡継ぎの
嫁として迎えられる。跡継ぎの安信は、剣に未練が
あり、料理の腕はさっぱりで、お春が指南役として
料理を教え始めるのだが...。

<お勧め星>☆☆☆☆ 加賀の豪華な料理に目を奪われ
つつも、包丁侍夫婦の人生を楽しむことができました。


「武士の家計簿」(2010)も加賀藩を描いた、とても
楽しくそしてちょっとじんわり来る映画でしたが、こちら
も加賀藩で、侍と言えども刀ではなく、包丁を持って
自らの任務を果たす男とその妻の姿を、同じく笑いあり、
涙ありの悲喜こもごも混在させて描いたステキな映画と
なっています。
お春役は上戸彩。


武士の献立

笑顔も泣き顔も怒った顔もすべて可愛いです。表情が豊か
ですね。そのお春は、加賀藩第六代藩主、前田吉徳の側室
お貞の方付きの女中であり、幼い頃から、彼女を母親の
ように慕って育ってきたのです。実はそのお貞の方は、
藩主の側近、大槻と好き合う仲なのですが、それは後の
加賀騒動にも大きく絡んでくるのです。とはいえ、歴史に
全く疎いので、加賀といえば百万石。そして金沢城、豪華絢爛
としか思い浮びません。トホホ。
ひょんな出来事から、加賀藩の台所御用役、舟木伝内にその
才能を見いだされ、出戻り、かつ4歳も年上であることなど
全てチャラにして、伝内の跡取り息子、安信の嫁になるお春。
安信役はとても美しい高良健吾。


武士の献立

終盤にふんどし一丁で水を浴びるシーンがあって、それもまた
美しいのなんのって!

しかし当の安信は実は次男であり、長男が病死したために急遽
料理方になる道を選ばざるを得なかったのです。だから、剣は
得意だけれど、料理なんて全然好きじゃない。いやいや里いも
の皮をむく姿に十分現れています。さらに剣の道場の娘、佐代
に心を寄せていたのに、そんなわけであきらめざるを得ず、親友
が彼女と結婚しています。なんとも悲しい。

だから4歳年上の口うるさい女房を「古ダヌキ」呼ばわりするん
ですよ。可愛い彩ちゃんに失礼だわ。
この夫婦の日常と、加賀騒動に揺れ動く藩の様子、それに翻弄
される友人たちなどを描きながら映画は進みます。
ラスト付近に見られる饗応料理はものすごく豪華で、いったい
何膳あるのかしら、食べきれるのかしら、などといらない心配
をしてしまいました。
舟木家は明治に至るまで、7代にわたって加賀藩の料理人を務め、
レシピ本も出したとのこと。舌は才能の1つなのですね。





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風立ちぬ

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風立ちぬ

「風立ちぬ」
監督:宮崎 駿
2013年 日本映画 126分
キャスト:庵野英明
     瀧本美織
     西島秀俊
     西村雅彦
     風間杜夫

飛行機の設計技師をめざす堀越二朗は、関東大震災
の時、同じ列車に乗っていた菜穂子という女性を助ける。
彼はその後就職し、飛行機を作るために日夜研究を重ね
るが、ある夏避暑地で菜穂子と再会するのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ エンドロールに流れる「ひこうき雲」
が懐かしい。そして監督の静かなメッセージを感じることが
できます。


大正末期から昭和初頭、世界は限りなく大戦へと近づいている
中、日本では関東大震災が起こるのです。その時同じ列車に
乗り合わせていたのが堀越二朗と里美菜穂子。二朗役の声優
には賛否両論ありますが、わたしはあれでよかった気がします。
二朗のひょうひょうとした雰囲気によく合っていました。
二朗は菜穂子とお手伝いのお絹を助けるのです。燃えさかる家々
や立ち上る煙、そして真っ赤に染まる空などが、これから始まる
不気味な世相を反映しているようでした。それとは逆に美しい
青空や真白な雲も映るシーンが見られ、青年の夢をそのまま映像に
しているかのように思えます。


風立ちぬ

二朗はサバの骨のような美しい曲線を描く飛行機を作りたい、という
夢を持ち、就職してからも日夜、その設計に明け暮れるのです。
そうそう映画内で「シベリア」というあんこをはさんだカステラ
のような食べ物が出てきますが、昔見たことがあるような。でも
そんな名前ではなかった気がする。地方によって名称が異なるの
かな。
時折、二朗が夢を見るシーンが入り込み、その中で、イタリア人
設計家カプローニと語り合います。これはこの映画に置いて結構
重要なシーンだと思うのですが、序盤はやや違和感を覚えました。
そしてある夏、二朗は菜穂子と再会します。彼女との恋物語は
幾度となく映るパラソルが風に飛ばされるシーンと重なり、美しい
けれどはかなく感じられるのです。


風立ちぬ

自分の夢を追いつつ、菜穂子との限られた時間を大切にする二朗。
彼女の元へ向かう列車の中でも設計をしながら、そのノートに
落ちる彼の涙の粒は、見る者を切なくさせます。
そして遂に彼は夢を実現させ、零式艦上戦闘機を完成させるのです。
「ぼくたちは戦う飛行機ではなく、美しい飛行機を作りたい」

二朗はそう願って設計し続けたのですが、結局は戦闘に使われ、
最後にはろくに操縦もできない兵士が、整備不良のまま飛行し、
目的地に到達することなく散って行ったのです。そこを語ると
際限がない。
ラストに二朗は夢の中でカプローニにこう語ります。
「1機も戻ってこなかった」と。
その虚しさは、監督の反戦への強いメッセージと重なりました。
「生きて」という菜穂子の言葉に表れています。


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清須会議

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清須会議

「清須会議」
監督:三谷幸喜
2013年 日本映画 138分
キャスト:役所広司
     大泉 洋
     小日向文世
     佐藤浩市
     妻夫木聡
     鈴木京香

本能寺の変により織田信長が暗殺され、織田家の後継者
を巡って清須会議が開かれることになる。柴田勝家と
羽柴秀吉は、その後継者を巡って対立し、様々な駆け引きを
巡らすのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 歴史に疎いのでこの会議自体
知りませんでしたが、三谷ワールドにぐいぐい引き込まれ
ます。


三谷幸喜監督のNHK大河ドラマ「新撰組」同様に、歴史上の
重要人物の特徴をうまくとらえ、コメディ要素を組み入れながら
的確に描いています。
個人的には、お市の方役の鈴木京香がよかったな。彼女がなぜに
秀吉を嫌うのか、そして最後に彼女が秀吉への最大の復讐として
選んだ方法には驚かされます。映画の中では、「香」が好きを
勘違いした勝家が「らっきょう」を持参したり、秀吉の手土産を
ポイと放り投げたり、と彼女の意志の強さをこれまた笑いを交え
ながら映し出していくのです。


清須会議

羽柴秀吉役は大泉洋。「探偵はBARにいる」でもそうでしたが、
ただのコメディ俳優ではなく、要所要所を手堅く締めています。
特殊メイクを施したその風貌は、まさに「サル」。

清須会議

そして織田家に忠実に仕えながらも、お市の方にぞっこんの
柴田勝家役は役所広司。武骨で脂ぎっている姿がまことに上手に
演じられています。
彼は不器用がゆえ、どこかズレているのもまたおかしいのです。
さらに織田家の人物は、皆「鼻」が高い。その「鼻」で血筋を
表しているのです。信長の二男でありながら、少々オツムが弱い
信雄役の妻夫木聡がまるで水を得た魚のように演じています。
そうだよ、キミにぴったりの役じゃないか。旗獲り合戦は大笑い
ものです。
織田家の跡目と領地配分を巡る会議として開かれる「清州会議」
は1人の家臣の到着の遅れから、2日、3日と延期されていき、
その間に柴田側と羽柴側がそれぞれの思惑から、様々な策略を
巡らしたり、後ろ盾となる人物に取り入ったりする姿は、戦を
描いているよりも楽しいです。
時折映る、到着が遅れている滝川左近が、山中で出遭うのが、なんと
「更科六兵衛」。ここは「ステキな金縛り」を見ておいてよかった。
それにしてもちっとも清州にたどり着かないなあ。
秀吉の妻、寧々役を演じた中谷美紀が映画の中で踊るのは「くつわ踊」と言われ、愛知県無形文化財だそうです。中谷さん、ものすごく
上手に踊っています。
秀吉の先見の明を感じさせる映画でしたが、とにかく面白かったです。



 
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四十九日のレシピ

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四十九日のレシピ

「四十九日のレシピ」
監督:タナダユキ
2013年 日本映画 129分
キャスト:永作博美
     石橋蓮司
     岡田将生
     二階堂ふみ
     原田泰造

夫の不倫が原因で離婚を決意した百合子は、妻を
亡くしたばかりの父の元へ帰ってくる。そこには
イモという少女がおり、亡き母の依頼で四十九日間
お世話をすると申し出るのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ とても心に響くいい映画ですが、
ラストが個人的にはちょっと残念。


オープニングは、永作博美演じる高岩百合子が夫の不倫
相手からの電話を受けるシーンです。
「子供ができたから、早く離婚してよ。」
という相手の言葉。部屋に山積みになっている不妊治療の
本。そして遠くから百合子の介助を求める姑の声...。
どよよ〜ん。
一方、彼女の父、熱田良平は妻、乙美を突然亡くし、自宅
で放心状態でいるのです。散らかった部屋。食器のたまった
シンク。いつも怒鳴ってばかりで、最後の会話も妻を叱った
ものだった...。
どよよ〜ん。


四十九日のレシピ

そのどんよりを晴らしてくれるのが、ゴスロリファッションと
濃いメイクで登場するイモトサチエです。二階堂ふみが可愛く
暗い過去をさらりと言ってのける、何かに吹っ切れた少女を
好演しています。彼女はリボンハウスという更生施設出身で
そこで乙美の世話になり、乙美から「四十九日のレシピ」の
実戦を頼まれていたのです。
出戻りかけている百合子と父の確執は、実は乙美が父の再婚相手
だったことから始まっており、実の母を知らず、さらに今も
母親になれない自分をひたすら嘆く日々を送っています。そこに
夫の不倫相手に子供ができたことへの衝撃も加わり、抜けられない
暗く長いトンネルの中にいるようなのです。
そこへさらにハルノスケという日系ブラジル人が登場。岡田将生
クン、す・て・き♡


四十九日のレシピ

彼らの底抜けに明るい雰囲気についつい飲みこまれ、父娘は
亡き妻、母の「四十九日のレシピ」を開始することになるのです。
母の残した様々なレシピは、すてきなイラストで綴られ、それに
ついて終盤に
「乙美さんは母親を空襲で亡くしたから、幼い頃から母親を
知らない。だから「お母さん」から教わることを人から教わるごとに
記録していったのね。」
と聞かされた父娘は、彼女の思いを一気に知ることになるのです。
「みんなで楽しく大宴会」
四十九日をどう執り行うか。
時々登場して父や百合子に、厳しい言葉を投げかけていく伯母タマコ
は亡き淡路恵子。


四十九日のレシピ

それぞれの個性が如何なく発揮されて、とても素晴らしい映画だった
と思ったのですが、跳び箱の踏切板を踏んで巣立っていく中に、百合子も含めてほしかった、というのが実感です。




 
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凶悪

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凶悪

「凶悪」
2013年 日本映画 128分 R15+
監督:白石和彌
キャスト:山田孝之
     ピエール瀧
     リリー・フランキー
     池脇千鶴

雑誌記者の藤井は、死刑囚須藤から、自らの余罪を
告白する手紙を受け取る。須藤は死刑判決を受けた
事件以外に3件の殺人を犯しており、いずれも「先生」
と呼ばれる男が首謀者だったと訴えるのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ とてもよくできた映画ですし、
俳優陣の演技も素晴らしいですが、見終わると心が暗く
なります。


原作は新潮45に掲載された「凶悪ーある死刑囚の告発ー」
です。
主人公の「明潮24」の記者藤井修一役は山田孝之。もう
どんな役でも安心して見られます。個人的にはコメディの
方が好き。「鴨川ホルモー」はよかったなあ。


凶悪

彼が勤務する出版社の雑誌編集長は女性で結構きれいな
女優さんが演じています。余談ながら、モデルは中瀬ゆかり
さんで、かなりイメージが異なります。でも中瀬さんも好き
だからいいか。
話は7年前の須藤、五十嵐が繰り広げた暴力のオンパレード
から始まります。これだけ見てもとことん悪い奴だと思う
けれど、人間はどこまでも悪くなれるし、その「悪」には
慣れてしまう生き物らしい。須藤役のピエール瀧が、本物の
ヤクザに見えるほど怪演しています。
そして逮捕され、死刑判決を受け上告中の須藤は、藤井に
「他にも殺人をしているんだ」という告白の手紙を送るのです。
最初は須藤主導だった告白が、次第に聞き手の藤井主導に
変わっていく辺りは、事件の首謀者とされた「先生」こと
木村孝雄の家のガラス窓をこすって中を覗くシーンから、藤井
の頭の中で繰り広げられる事件の様子でうかがい知ることが
できます。


凶悪

木村役のリリー・フランキーって声も目つきをとても優しい。
その彼が「ぼくにもやらせて」と暴力に加担するシーンは

もうたまらなく怖いです。ちなみにここで殺害される牛場役
の俳優さんは、まだ50代だそうです。絶対にそう見えない。
映画ではもう一つのストーリー、認知症の母親の世話を妻に
まかせっきりで、施設入所を拒む藤井の姿も描かれていきます。
この部分はちょっと余分な気もしますが、妻役の池脇千鶴が
いなければ、華がなくなるので仕方ないのかな。
ラストに木村が藤井を指さした時、藤井の表情のない瞳には
燃えたぎるような殺意を感じました。


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謝罪の王様

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謝罪の王様

「謝罪の王様」
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
2013年 日本映画 128分
キャスト:阿部サダヲ
     井上真央
     竹之内豊
     尾野真千子
     岡田将生
     中野英雄

東京謝罪センターを主宰する黒島は、様々なトラブル
を「謝罪」で解決している。そんな彼の元に1人の
女性が相談に訪れるのだが...。

<お勧め星>☆☆☆☆ この組み合わせの映画が好きな
方なら大満足。いつも通りの楽しさです。


「舞妓Haaaan!!!」「なくもんか」の水田伸生監督、宮藤
官九郎脚本、阿部サダヲ主演のハイテンションムービーです。
東京謝罪センターなるものを経営している黒島譲の元を
訪れるトラブルを抱えた人々の姿を1つずつ描いていき、
ところどころ重なっている部分もあってとてもおもしろい


謝罪の王様

 〜匯典子(井上真央)帰国子女であるがゆえ、謝罪する
ことに抵抗のある彼女は、ヤクザの車と事故を起こし、あわや
デリヘル嬢になるところで、黒島の元を訪れます。井上真央
が小憎らしい役をとても上手に演じています。400万の賠償
とデリヘルになる、という契約を何とか破棄させるために、
テンポよく立ち回る黒島はいつもの阿部サダヲ。
◆‐妥賃醋蕁焚田将生)親会社の女上司にセクハラをし、
訴訟を起こされてしまいます。とにかくチャラいし、エロい。
大好きな将生クンだけど、何気にぴったりなんだなあ。ラブ&
ピースなんて言ってる弁護士役もできるし、器用なお方です。
この顛末もかなりぶっ飛んでいますが「許したくても許せなく
なっている」という人間の心理はとても良く理解できます。


謝罪の王様

 南部哲郎、壇野はる香 息子の不祥事への謝罪会見を
開くものの、それがどんどん裏目に出ていく姿がコミカルに
描かれています。しかしなぜ息子が暴行事件を起こしたのか、
その本当の原因が皮肉たっぷりに映し出され、マスコミへの
痛烈な一撃となっていると感じました。
ぁ〔輪正臣(竹之内豊)国際弁護士で、沼田をセクハラで
訴えた女性の弁護を担当します。しかし彼は離婚した妻との
間の娘に対し、とても大きな十字架を背負っているのです。
この辺りから風呂敷はどんどん広がって行き、なんと時の
総理大臣まで登場!ここはちょっとやり過ぎ感が否めません。
「土下座を超えた謝罪」が「わき毛ボーボー、自由の女神」。
この意味は映画の終盤になってやっとわかります。そして
それが思わぬ人を結びつけるものになるのです。う〜ん。
うまくできていたなあ。


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八日目の蝉

5
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八日目の蝉

「八日目の蝉」
監督:成島 出
2011年 日本映画 147分
キャスト:井上真央  
     永作博美
     小池栄子
     田中哲司
     余貴美子

愛人の子供を中絶した希和子は、同じ頃生まれた愛人の妻の
子供を誘拐してしまう。4年間の逃亡生活を経て、実の両親
の元へ戻った恵理菜は、心の闇を抱えたまま大学生になっていた。

<お勧め星>☆☆☆☆ それぞれの俳優の演技が光ります。しかし
とても重い内容です。


原作は未読なので「八日目の蝉」の意味を十分理解できたとは
思えません。しかし皆と違う状況に置かれている者の苦悩と
それだからこそ確信できた子供への「愛情」は手に取るように
伝わりました。
この映画では、誰が悪いとは言っていません。不倫相手の子供を
誘拐した女性が悪いのか、言葉巧みに女性を繋ぎ止め、子供を
中絶させ、彼女を不妊に追いやった男が悪いのか、夫の子供を
中絶した愛人をとことん責めたてる妻が悪いのか。しかし誰もが
間違いなく愛していたのは、娘恵理菜(薫)だったことは確かです。

裁判の証言台から映画は始まります。終始重苦しい雰囲気が漂い、
この緊張がいつほぐれるのか、ほぐれる時間はあるのかと思って
しまうほどです。不倫相手秋山の子供を中絶した希和子は、それが
原因で不妊となります。そして同時期に出産した秋山の妻の暴言
に耐えつつ、その子供を一目見ようと家を訪れるのです。
ちょうど妻が夫を駅まで送っていくところ。こんな事件が本当に
ありましたね。あれは放火だったか。希和子を見て笑いかける
子供を、彼女はつい誘拐してしまうのです。そして自分の子供に
つけようと考えていた「薫」という名前で呼び始めます。
一方では、成長し、大学生になった恵理菜(薫)が映ります。井上
真央が演じていますが、両親とはうまくいかず、恋人は妻子持ち、
かつ友人がいない暗い女子大生役がいやにはまっている。


八日目の蝉


幼い頃の事件の影響で、彼女は「愛情」というものがわからない
女性に育っていたのです。そんな彼女の過去をほじくり返すため
に現れるのが、フリーライターの安藤千草。この役の小池栄子が
上手いんだよね。なぜ恵理菜に固執するのかは次第にわかって
きますが、猫背で内股、歩幅の狭い歩き方で、千草も普通の女性
ではないことが理解できます。
そして最も迫真の演技をしたのは、実母恵津子役の森口遥子じゃ
ないでしょうか。彼女のヒステリックな演技は見事でした。


八日目の蝉


小豆島ののどかな風景と美しい海、そこで繰り広げられる普通の
生活は、必ず終わりを告げることは希和子には最初からわかって
いたのです。それがいつか。このフェリー乗り場のシーンは絶対
に泣けますねえ。



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許されざる者

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許されざる者

「許されざる者」
監督:李 相日
2013年 日本映画 135分 PG12
キャスト:渡辺 謙
     柄本 明
     佐藤浩市
     柳楽優弥
     忽那汐里
     小池栄子

1880年、かつて幕府に仕え、人斬りとして名をはせた
釜田十兵衛は、北海道の片田舎で子どもと暮らしていた。
そんな彼の元へかつての仲間金吾が訪れ、女郎を傷つけた
罪で賞金がかけられた男たちを殺す話を持ちかける。人斬り
とは縁を切った十兵衛は一旦は話を断るが、日々の生活は
苦しく、彼はその話に乗ることにするのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 見ごたえのある映像と豪華な俳優陣で
重厚感のある映画です。


オリジナルはご存じのとおり、クリント・イーストウッドが
1992年に監督、主演した西部劇「許されざる者」です。
残念なことに未見ですが、そのおかげでオリジナルと比較せずに
鑑賞することができました。
1869年、雪の中を追ってくる討伐隊を、木の影に身を潜め、
バッタバッタと斬って斬って斬りまくる男。彼の眼はまるで獣
のようです。

そして時は過ぎ、彼は雪原の中のみすぼらしい一軒家に子供2人
と暮らしているのです。とても穏やかな顔をして、荒れた畑を
耕しています。
全編、北海道上川町でのオールロケだったということで、一面に
広がる真っ白い雪と吹きすさぶ風、阿寒湖の水などとても美しい
景色を堪能できます。そして凍えます。
その頃鷲路村の女郎が、開拓民に顔を切り刻まれる事件が起こり、
大した罪に問われなかったことから、彼女たちは犯人の男2人に
賞金をかけるのです。この顔を切り刻まれた女郎ナツメ役は
忽那汐里。思ったよりも上手に演じています。そして女郎のボスの
ようなお梶役は小池栄子です。

なぜに大した罪に問われなかったのかというと、そこには村を
牛耳っている警察署長大石の存在があるわけで、彼の一存で罰は
決まってしまうのです。大石役は佐藤浩市。


許されざる者

ものすごく悪い役を演じているのですが、その「悪」というのが
いまひとつ弱いのが残念です。賄賂をもらうとか、罪もない人を
殺していくとか、そういうシーンはありません。國村隼演じる
賞金稼ぎをボコるのもご愛嬌。終盤で十兵衛の相棒、金吾を拷問
するシーンぐらいが彼の残虐性を物語っていますかね。しかし
「悪」の雰囲気がプンプン漂います。
そして賞金稼ぎに参加した十兵衛と金吾に無理やりに加わった沢田
というアイヌの血をひく青年役は柳楽優弥です。


許されざる者

彼がものすごくいい演技をしています。時におどけ、時に泣き、
時に怯える。様々な表情を豊かな演技力で見事に演じきっています。
幕末から明治初期にかけて迫害され続けたアイヌ民族の問題も
絡めながらストーリーは進みます。和人は彼らの土地を奪い、差別
したために、彼らは和人との結婚によってその文化や言語を捨てて
いかなければならなかったという歴史も知りました。

終盤、遂に大石の元へ向かった十兵衛が、銃で、刀で、戦うシーン
はスローモーションを交えながら、迫力のある映像になっています。
燃えさかる酒場と真白な雪。この対照的なコントラストも美しく
見えるのです。
そうそう最初に賞金稼ぎに向かった北大路(國村隼)の書生役で
遠藤賢一が出演していますね。「半沢直樹」を見ていなかったら
見落としちゃうわ。
ラストは賛否が分かれるものになっていますが、これはこれで
よかったのでは?と思います。
「地獄で待ってろよ」
こんなセリフを使う映画は今ありませんよね。



     


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