あの日の声を探して

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JUGEMテーマ:洋画

あの日の声を探して

「あの日の声を探して」
原題:The Search
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
2014年 フランス=グルジア 149分
キャスト:ベレニス・ベジョ
     アネット・ベニング
     マクシム・エメリヤノフ

1999年のチェチェン紛争で両親を失ったハジは
幼い弟を民家の軒先に置いた後、町をさまよっている
ところをEUの人権委員会のキャロルに保護される。
一方ロシアのペルミで警察に捕まった19歳のコーリャ
は、兵士になるための訓練を受けるのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 様々な方向からチェチェン紛争
について描いたためにやや中途半端な描き方になりましたが
見ごたえのある内容でした。


チェチェン紛争といっても日本から見るとはるか遠くの話
であり、幾たびか悲劇が繰り返されてきたのに、記憶から
すぐに消えてしまいます。しかし彼らは今も厳しい状況に
置かれていることは変わりがないのです。特にこの映画は
グルジアとフランスの共同制作ですが、パリでの同時多発
テロが起きた現在、フランス人がイスラム教徒である
チェチェンの人々へ前と同じように寛容であるかどうかは
わかりません。
ストーリーは3人の視点から描かれます。1999年、
第二次チェチェン紛争で両親をロシア兵に射殺され、姉と
はぐれたハジが幼いヴァクハを連れて逃げ出す姿。


あの日の声を探して

そしてロシアのペルミで警官に捕まった19歳のコーリャが
その年齢ゆえ刑務所に送られず、兵士となるために訓練を受け
始める姿。


あの日の声を探して

もう一人はフランス人でありEUの人権委員会のキャロルの
姿です。
冒頭、のんびりとVTRカメラを回す若い兵士の声が聞こえ、
彼が軽く話すその先には、「スパイ」と呼ばれ銃を突き付け
られているチェチェン人夫妻と娘が命乞いをしているのです。
アラーへの祈りを始めた途端、父は銃殺され、続いて母も
銃殺されます。家の窓からそれを見ていた幼いハジは赤ん坊
の弟ヴァクハを抱きながら銃の音にビクリと体を反応させ、
そして泣き叫ぶ弟の声を聞きつけて入って来た兵士から身を
隠します。兵士はヴァクハにおしゃぶりをしゃぶらせて去って
行くのです。彼はそれを見ると弟を抱えて必死で逃げ始めます。
どこへ行ったらいいのだろう。姉ルイーサは兵士が連れて行って
しまった。途方に暮れたハジが瞳から大粒の涙をこぼします。
この姿は本当に辛い。

一方ロシアのペルミでドラッグを持っていたことで警官に捕まった
コーリャは、どうも不良らしく、年齢が19歳ということで、
刑務所へは送られず、そのまま兵士として訓練を受けることに
なります。そこでの非情なしごきと暴力、暴言は彼から人間と
しての心を奪っていくのでしょうか。先輩だけでなく、大佐すら
問答無用の暴力を振るいます。さらに彼の仕事は、戦死した
兵士を遺体袋に収め、書類を書く仕事を与えられるのです。
彼はこのチェチェン紛争について何の知識もないまま、ただ
戦闘の訓練を受け、いずれは戦地に送られるという、戦争の中の
弾薬の1つ程度にしか存在価値がないかのように描かれます。
彼は先輩から「チェチェン人はみんなスパイだ。」という憎しみ
だけを植え付けられていくのです。これはもしかしたらウクライナ
派兵されたロシア兵も同じなのかもしれない。

ハジは、赤十字に保護されたものの、言葉を発しません。それは
目の前で起きた恐怖と悲しみで、人への接し方を忘れてしまった
のでしょう。彼のリュックから弟のセーターが出てきたのを
見つけられ、ハジは、その場から逃げ出してしまうのです。この
気持ちもよくわかります。自分が世話をすべきだったのに、手に
負えず置いてきてしまったことへの罪悪感。
そんなハジを見つけたのは、EU人権委員会のキャロルです。
キャロルの話す言葉はフランス語なので、ハジにわかるはずもない。


あの日の声を探して

キャロル自身も何も言葉を発しないハジへの接し方に戸惑う
のです。ここでEUと国連との立場の相違も描かれます。国連は
ロシアに配慮して、チェチェン紛争への介入を仲裁することは
しません。目の前にこれほど難民が押し寄せているのに、大国への
配慮が国連の仕事なのでしょうか。それはシリア然り。
ストーリーはラスト付近に奇跡的な再会を描きますが、その後、
オープニングのVTR映像の意味が分かります。あれは時間軸を
ずらして映していたことにやっと気づくのです。あの若い兵士
はコーリャだったと。

チェチェン紛争について人々の記憶を呼び戻したことは価値が
ありますが、この映画で何を一番訴えたかったのかということは
見終わってもわかりませんでした。

キャロルが言葉を発しないハジに絵を描くことを勧め、家族や
家を描いて渡すと、それを1つずつ消しながら涙をこぼすハジ
の姿には見ている側も涙を流さずにはいられませんでした。


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最初の人間

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JUGEMテーマ:洋画

最初の人間

「最初の人間」
原題:Le Premier Homme
監督:ジャンニ・アメリオ
2011年 フランス=イタリア=アルジェリア映画
105分
キャスト:ジャック・ガンブラン
     カトリータ・ソラ
     ドゥニ・ポダリデス

1957年、パリに住む作家ジャックは、生まれ育った
故郷アルジェリアを訪れる。しかしフランス軍の蛮行への
アラブ人の反発は強まっており、彼のスピーチは非難の的
のなってしまう。そんな彼は危険を冒しながら、実母や
かつての知り合いを訪ね始めるのだった。

<お勧め星>☆☆☆ いい映画だと思うのですが、とにかく
睡魔との闘いでした。


「異邦人」「ペスト」などを書き、ノーベル文学賞を受賞した
アルベール・カミュの未完の自伝的小説「最初の人間」を
映画化したものです。彼の死にはKGBが絡んでいるという噂も
ありますが、1960年に友人の運転の車の事故で死亡して
います。
映画内で映し出される1950年代と1920年代のアルジェリア
の景色は、海の青と美しい自然が映え、まことに美しいです。
時折兵士やそれらを乗せた軍の車が走るのや、路上で物乞いを
する人の存在、そして爆発事件発生などが、この時期のこの国
の混乱した状況を物語ります。

「抑圧者による暴力が被抑圧者の暴力を生む」
パリでの同時多発テロが起きたばかりの今、この言葉の重みを
感じざるを得ません。
主人公のジャック・コルムリは、フランスからアルジェリアに
入植した者の息子であり、その父は第一次大戦で戦死を遂げ、
母と叔父、祖母とともに貧しい暮らしをしていたのです。
ストーリーは今や小説家として成功し、パリに妻子と共に住む
ジャックがアルジェリアを訪れるところから始まりますが、当時
元々住んでいたアラブ人と入植者であるフランス人との間に
対立が深まっており、フランス軍は、彼らの破壊活動を封じ込め
ようとしていました。それは、不当逮捕、不衛生な環境での拘留、
拷問、処刑などであったわけです。アラブ人居住区の劣悪な環境と
彼らから痛いような視線を受けるジャックの姿を映像が克明に
描きます。
ジャックはそれを全て知ったうえで、どちらが「悪」と敢えて
明言せず、どちら側にも謙虚に誠実に接していきます。彼がなぜ
ここまで暴力を否定したのかは、幼い頃から祖母に激しい体罰
を受けてきたからかもしれません。
貧しいけれど、才能がある彼の見出してくれた恩師ベルナール先生。


最初の人間

最初の人間

2人の会話は重みのある内容だった気がするのですが、ただ
わかったことは、ジャックは自分が「アルジェリア人」であると
考えていることです。「アルジェリア」という祖国がある人物
はアラブ人でもフランス人でもなく「アルジェリア人」なのです。


最初の人間

「パリに来ないか?」と年老いた母親にジャックが言葉をかけても
「わたしの祖国はここよ」と答えが返ってきます。ジャックが
生まれた農場の今の持ち主も、親はマルセイユで暮らしているが、
自分はここが故郷だと言う。
宗教や人種を超えて、1つの国の国民として、謙虚に誠実に生きて
いくことが、再び今の世界に必要になっているのかもしれません。





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15歳、アルマの恋愛妄想

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15歳、アルマの恋愛妄想

「15歳、アルマの恋愛妄想」
原題:Fa meg pa,for faen!
監督:ヤンニッケ・シースタ・ヤコブセン
2011年 ノルウェー映画 76分
キャスト:ヘレーネ・ベルグスホルム
     ヘンリエッテ・ステーンストルプ

15歳のアルマは、片田舎の生活の飽き飽きし、
テレフォンセックスにふけっている。ある日
パーティーに参加したアルマは、片思い中の
アルトゥールから思いがけない行為を受け、それを
友人にしゃべったことから、学校で仲間外れになる
のだった。

<お勧め星>☆☆☆ ティーンのおバカ映画と思った
ら、結構爽快感が残るラストになっています。


スコッデハイメンというノルウェーの田舎町が冒頭から
映り、よく言えば自然豊かでのどかな風景、悪く言うと
何も変化もないつまらない印象を受けます。この町に
住む15歳の高校生アルマは、とことんこの町に飽き飽き
し、それを1つずつの景色を映しながら、彼女の言葉で
表現していくのです。そしてテレフォンセックスにふける
彼女の姿が見られ、ちょっとショッキングだけれど、これ
くらいの刺激が欲しい年頃なんだろうとも納得します。
雑誌や映画、テレビ番組での恋愛模様が、現実世界でも
起きると信じる年頃ってあったよなあ。例えば、上靴の中
にラブレターが入っていたり、「好きです」と告白したら
「実は僕も前から好きだったんだ」とかっこいい先輩に
言われる。そんな夢物語に妄想を膨らませたものです。
とはいえ北欧の女子はかなりマセているので、妄想がかなり
リアル。

アルマと親友で双子のイングリットとサラ姉妹は、バスで
高校へ通うのですが、町の名前が書いてある看板にいつも
中指を立てるわけです。


15歳、アルマの恋愛妄想

バス停でのこの風景は映画内で何度も見られ、その都度3人
の状況が異なるのが少しだけ笑えます。
そんなアルマは、青少年センターのパーティーで、片思い中の
アルトゥールと何度も目が合ってしまう。絶対に彼は自分に気が
あるな、と思って外に出ると、彼も出てくるわけです。ここで
キス?いえあろうことかアルトゥールは、自分の局部を出し、
それをアルマの太ももに押し付けてくるのです。


15歳、アルマの恋愛妄想

アルマは驚いたものの、その先を妄想し、ちょっと喜びながら
イングリットに話すわけです。すると自分に気があると思って
いる彼女に否定され、あげくのはてにアルトゥール自身にも
「ひどいな」
と言われてしまう。これで全ておじゃんですね。次の日から
アルマは学校で仲間はずれになり、「ちんちんアルマ」という
不名誉なあだ名ももらうことになるのです。このイジメのシーン
は陰湿に描かれず、割と明るめの内容なので、アルマの孤独も
悲しげには映りません。但し、その後も妄想にふけるアルマと
娘の早熟な行動に戸惑う母親の姿が映ると、日本でのティーンの
姿と重なって見えてくるのです。


15歳、アルマの恋愛妄想

一方でイングリは、高校のコーラス部であり、そのギター担当が
アルトゥール。これがださい歌ばかり歌っているんですよ。また
サラは、なぜか死刑を廃止するためにテキサス州へ行きたいと
考え、死刑囚と文通しようとせっせと手紙を書いています。
なんで死刑囚と文通したいんだろう。実はこの手紙はポストに
投函されず、引き出しにためていることが終盤わかります。その
頃にはヒャルダンというちょっと臭い(なんでかわからない)
男の子と恋に落ちている。サラとイングリットの好対照な姉妹
はその姿も全く異なるので最初は双子と思わなかったです。
そしてバイト先でポルノ雑誌を盗んだアルマは、それが母に
知られ外出禁止になります。じゃあ、もうこんな町捨ててやる!
おまけにアルトゥールは突いたことは認めたのに、恋人がいる
何て言うし。

アルマはサラ達の姉マリアの暮らすオスロを目指してヒッチハイク
を始めます。ずっと外の空が明るいのは白夜だからかしら。
姿が見えないアルマの行方を知っていたのが、いつも覗き見して
いる隣家のマクダというのもおかしいです。それも時刻も行き先
もばっちり当てるんです。どれだけ覗いていたんだろう。
ラスト付近にアルトゥールに
「僕たちは似た者同士だ」
と言われたアルマが、きっぱり
「違うわ。わたしは弱虫じゃない」
と言ったのはかっこよかった。そうさ、キミは変態気味だよ。
そして夢のようなアルトゥールの行動。妄想じゃなくて現実に
なってよかったねえ。






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トレインスポッティング

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トレインスポッティング

「トレインスポッティング」
原題:Trainspotting
監督:ダニー・ボイル
1996年 イギリス映画 93分 R15+
キャスト:ユアン・マクレガー
     ユエン・ブレムナー
     ジョニー・リー・ミラー
     ロバート・カーライル
     ケリー・マクドナルド

ドラッグ中毒のマークは、不況真っただ中の
スコットランドで、仲間と共に退廃的な生活を
送っている。しかし逮捕をきっかけにドラッグ
を絶ち、ロンドンでまともな仕事にありついた
マークだったが...。

<お勧め星>☆☆☆ 内容は別にして、音楽と
映像がスタイリッシュです。


当時無名だったユアン・マクレガーがこの映画を
きっかけにスターになっていった作品です。話は
はっきり言ってどうしようもないぐうたらな青年
達の姿を延々と流し続けるのですが、一瞬ごとに
彼らの苦悩や葛藤が見受けられ、それが様々な色調
の映像と共に目の間に映ると、なんとも不思議な感覚
になります。
マーク、シック・ボーイ、ベグビー、スパッド、トミー
はドラッグ仲間であり、処方箋をくすねたり、偽造
したりして、毎日ありとあらゆるドラッグに身を委ねて
いるのです。但し、トミーだけは、ドラッグはやらず
ひたすらナンパ専門。その彼が終盤には、女にフラれ
ヤク中となり、エイズにもかかったあげく、それでは
ない要因で悲惨な死を遂げるという哀れな一生を送る
のです。


トレインスポッティング

この時の描写はセリフで語られるんだけど、それだけで想像
できるような内容。
冒頭から何回目かのドラッグ絶ちを試みるマークは、
「最後の1本」
と言って(これも何度言ったか分からない)ヘロインを打つと
途端に体がフワーと軽くなり、音楽もポップなものが流れます。
一方で、スパッドと共に遂に逮捕されたマークが、自宅で監禁
され、ドラッグ絶ちを行う時の禁断症状のシーンでは、様々な
幻覚が走馬灯のように映し出され、ジャンキーだったアリソンの
子供で死んでしまったボーンが天井を這ってくる。そしてその
首がくるりと180度回転すると、彼の絶望感そのもののような
顔つきを見せるのです。


トレインスポッティング

皆クズなんだけど、喧嘩中毒のベグビーのキレっぷりは尋常では
ないですね。多分頭がイカれているんだな。そんなベグビーは
宝石店強盗で指名手配され、ポン引きになったシック・ボーイと
共にまともに働き始めたマークの元へ押しかけるわけです。結局
もとの木阿弥状態。
それでも最後はベグビーを出し抜き、仲間を裏切ったことで、マーク
は「普通の生活」に戻ろうと行動します。
「若気の至り」とよく言いますが、まさに若いからできたことで、
それをいつまでも続くと考えるのはとことんバカなのかもしれません。



    
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木洩れ日の家で

4
JUGEMテーマ:洋画

木洩れ日の家で

「木洩れ日の家で」
原題:Pora Umierac
監督:ドロタ・ケンジェルサヴスカ
2007年 ポーランド映画 104分
キャスト:ダヌタ・シャフラウルスカ

ワルシャワ郊外の古い屋敷に91歳の老女
アニエラは1人で暮らしている。彼女は愛する
この家で、一人息子家族との同居を望むが拒否
され、楽しみは愛犬フィラとの会話と両隣の家
をのぞき見することだった。

<お勧め星>☆☆☆半 全編モノクロながら、
まるで明るい日差しがさしているかのような
ラストシーンになっています。


一番素敵だったのは、老婦人アニエラの愛犬フィラ
の演技です。


木洩れ日の家で

もちろん編集の技に決まっていますが、食事をするアニエラ
を見つめ、口から流れるよだれを何度も飲み込む姿、電話が
鳴り、2階から降りるアニエラの動きが遅く、ベルが鳴り終え
てしまうのを繰り返すうちに、先に駆けおりて受話器を外す
ことを覚える姿、叱られると何かに隠れる姿など、どれを
とっても芸達者に見えます。
オープニングシーンは、女医の無作法な言葉に怒るアニエラ
の姿です。撮影当時この女優さんも91歳であり、それゆえの
味わいのある表情をいくつも見せてくれます。
アニエラはワルシャワ郊外の森深くに建つ古い家に1人暮らし。




この家がまことにおとぎ話に出てくるような時代を感じさせる
作りなのです。彼女はこの家をこよなく愛し、かつてここで
起きた出来事を毎日思い出しては、良き時代の思い出に浸って
います。しかし時折物忘れをするし、めまいにも襲われる、
という健康の不安から、一人息子ヴィトゥシュ一家との同居
を願うのですが、のらりくらりとはぐらかされ、たまにやって
来ても息子はすぐに帰っていきます。この家の庭には手作りの
ブランコがあり、かつて息子が楽しく乗ったものなのに、彼の
娘、つまりアニエラの孫は太り過ぎていて、ブランコをこぐこと
すらできません。
映画の中盤付近で、あまりに無作法な孫娘に
「あんたはクジラみたいに太っている子!」
とアニエラが言い放つと、みるみる顔をゆがめ、泣き出す孫娘。
ここはちょっとしてやったりだわ。幼いことと行儀が悪いことは
同列には扱えないもの。
アニエラの楽しみは両隣の家を双眼鏡でのぞき見することなのです。


木洩れ日の家で

片側の家は、金持ちの愛人が住んでいるらしく、もう片側では
少年少女のために音楽クラブが開かれ、へたくそな演奏をして
います。
アニエラの日課は、ラジオをつけ、掛け時計のネジを巻き、口紅
をひくことから始まるのです。それがテンポよく描かれ1日1日
と過ぎて行き、ある日突然見知らぬ少年が家に入り込んできます。
フョードルと名乗る少年は音楽クラブの子どもで、どうやら孤児
らしい。彼はとてもうれしそうに例のブランコをこいでいくのです。
そしてアニエラは、息子がこの家を母から譲られた後、愛人持ちの
金持ちの隣人に売ろうとしていることを知ってしまうのです。
あんなに可愛いかった息子が...。そして嫌っていた嫁がアニエラの
ことを逆に気づかうなんて。
アニエラは息子の写真を踏みつけある所へ電話をし、そしてカーテン
を閉め、喪服を身にまとい、鏡にカバーをして、ろうそくをともし、
ベッドに横になります。
「さて、死ぬ時が来た」

...「冗談じゃない」
アニエラは大好きな庭のブランコをこぎます。その姿はブランコを
こぐアニエラの視点で、木々や空が揺れて描かれていきます。その
姿はなんと生き生きとしているのでしょう。
そしてアニエラは、この家を音楽クラブに譲る決断をします。少し
ばかりの宝石は、この家の補修費用に充て、このままの姿で残し、
ずっと使い続けることが条件なのです。それを喜んで受け入れる
クラブの主催者と再び息を吹き返したこの家のにぎやかさに喜ぶ
アニエラの姿は、見ていてとても心地よいものです。
ラストは彼女の愛用のティーカップが割れ、違うカップで紅茶を
入れて上の階の彼女の元へ子供が運んでいくと、彼女の返事は
ありません。ただフィラだけが彼女の足の間に体を委ねているの
です。BGMも美しく、気持ちの安らぐものになっています。





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僕がいない場所

5
JUGEMテーマ:洋画

僕がいない場所

「僕がいない場所」
原題:I am/Jestem
監督:ドロタ・ケンジェルザヴスカ
2005年 ポーランド映画 93分
キャスト:ピョトル・ヤギェルスキ
     アグニゥシカ・ナゴジツカ
     バジア・シュカルバ

孤児院に収容されているクンデルは、友人も
おらず母親恋しさにそこを脱走する。しかし
母親は見知らぬ男と寝ており、絶望した彼は
川の上の廃船で暮らし始める。そしてそこに
1人の酒に酔った少女が訪れるようになり...。

<お勧め星>☆☆☆半 原題の意味を考えると
心が暗くなります。


ピアノ、バイオリンなどの明るく美しいBGMが
流れる中、どこまでも暗いストーリーが映し出されて
いきます。
国立孤児院で暮らすクンデルは、周囲とも打ち解けず、
職員に叱られた勢いで、そこを脱走するのです。どこ
までも続く草原をボロ靴で歩き続ける幼い少年の爪は
垢で真黒です。


僕がいない場所

そして彼はママの元へ向かうのです。彼に母親がいた
ことも驚きですが、この母親なら子供を育てられない
だろうと一目でわかる姿で現れます。彼女は見知らぬ男
とベッドで眠っており、明らかにドラッグもしている
模様。
「可愛い坊や」
と言ってクンデルを抱きしめるけれど、彼女のバスローブ
がはだけると全裸が見え隠れします。
「ママは誰かに愛されたいし、寂しいのよ」
これはクンデルが言いたかった言葉そのものです。抱きしめる
ママに噛みつき、クンデルはその場を走り去りますが、彼は
なぜか町の不良たちにも追われているのです。その理由は

わかりません。ただ行き場のないクンデルは、川に浮いて
いた廃船で暮らし始めます。そしてそこに捨ててあった缶を
売りに行って小銭を稼ぐのです。しかしここで支払いをする
男も実は彼の母親の客であり、その罪悪感から施しを行っている
とわかるのは映画の終盤。
船の曇ったガラス越しに見える裕福な一家は、クンデルには
限りなく縁遠いものであり、一家の大人もクンデルの存在を
知りつつ、ゴミにしか思っていないのです。
そしてある晩、クンデルの船に明らかに酒に酔ったクレツズカ
がやって来ます。彼女は例の一家の娘
あり、美しく賢い姉に
対し劣等感を持っているのです。それで酒に溺れている。


僕がいない場所

実はクンデルも美しい姉に心を惹かれているらしく、ちょくちょく
彼女の姿を覗いています。だからクレツズカがどんなに親しく
しようとしても、彼は冷たくしてしまう。けれど孤独な2人は
次第にいろいろな話をするようになるわけです。クレツズカが
袋に入れてぶら下げるパンにかぶりつくクンデルの姿は本当に
飢えているかのよう。少年の演技が光ります。
しかし不良たちに居場所を知られたクンデルは町を出ようと
クレツズカに話し、母に別れを告げに行くのです。ところがその
母は、クンデルのせいで男が来ないことに怒り
「二度と来ないで」

と追い返すのです。これは缶を売りに行った店の男が捨て猫を
川に捨てたのと同じで、愛情を受けられないものは、世話を
してもらえず、捨てられるしかないということを表すのです。
で、クンデルは川に飛び込むけれど、なぜか助かり、衣服を
乾かします。彼の吐く息が白いこと、いつもガラスが曇って
いることで、ポーランドの寒い気候を如実に物語ります。
その服はいつから着ているだい?
そして唯一心を寄せてくれたクレツズカと町を出ようと決めた
日に彼女の美しい姉が1本の電話をかけます。


僕がいない場所

姉はもしかしたら、いつでも自分が愛されていることに
慣れていて、妹が誰かに慕われることに嫉妬したのかもしれません。
通報した後、妹ヘッドフォンをつけさせる。彼女はそこから
流れてくる騒々しい音楽にひたすら喜んでいる一方で、曇った
窓ガラスの向こうでは、警官たちに連れられて行くクンデルの
姿が映りつづけます。
そして自らの名前すら話すことを拒否するクンデルの口から
「ぼくはぼくだ」
という言葉が出てきます。彼は二度と大人に心を開くことは
ないのだと深く感じるのです。







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よりよき人生

3
JUGEMテーマ:洋画

よりよき人生

「よりよき人生」
原題:Une Vie Meilleure
監督:セドリック・カーン
2011年 フランス映画 110分
キャスト:ギョーム・カネ
     レイラ・ベクティ
     スリマン・ケタビ
     
シェフを目指すヤンは、9歳の息子がいるナディアと
恋に落ちる。彼はパリ郊外にレストランにぴったりの
物件を見つけ、購入を決意する。しかし頭金を闇金で
まかなった上、消防署の許可が下りなかったことから
借金はどんどん膨らんでいくのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 転がり落ちるような人生を見て
いるとつらいですが、明るいラストに希望が持てました。


主人公のヤンは、大したスキルもなく、経験も豊富でない
学食の従業員にすぎないのに、シェフを目指し、自らを
レストランに売り込むほど考えの浅い男です。一方、彼が
働こうと考えたレストランのウェイトレス、ナディアも
彼に誘われたその晩にベッドインしてしまう、という奔放
な女性。ついでに彼女はレバノンからの移民であり、父の
わからない9歳の息子スリマンがいるのです。どうもこの
2人は同じ土俵に立っている気がします。惹かれ合ったのは
同じ匂いがしたからかもしれません。


よりよき人生

たまたま見つけた物件を気に入り、頭金すら考えずにまず
購入を決める。決めた後で頭金は、複数の闇金から借りる
という行き当たりばったりの行動。さらに改装費用をケチ
ったために、消防署の検査に不合格になってしまうのです。
ほんの少しでも助言を求めなかったのか不思議ですが、友人
だという改装業者も何も言わず仕事を進め、支払いが滞ると
確実に回収しようとします。それは銀行も同じであり、融資
先注意リストに彼を入れ、わずかな金すらも貸さなくなるのです。
こうなると「金」のことばかり頭にあって、同僚に小金を借り
まくるヤンの姿はもう悲惨そのもの。ナディアはスリマンが
欲しがるクレープ1枚すら買えないのです。そして彼女は
倍の時給がもらえるということで、店のオーナーの話に乗り、
カナダへ渡ります。

「1ヵ月でスリマンを呼び寄せるから」
彼女のこの言葉には現実味は全然ないんですよ。スカイプで
話をしていたのはわずかな期間で、連絡が途絶え、手紙も来なく
なるのは想定内の状況ですね。
目の前の危機から脱出すればとりあえず何とかなる、なんて
脳天気に考えていたヤンは、いかにも怪しげなマルクという男に
営業権とトレーラーハウスを売却します。ここで全てを売却
しないところが、まだ自分の店を持てると思っている浅はかさ
の表れでしょうか。そして2人で雨漏りのするボロアパートへ
引っ越します。貧困は必ずや犯罪の温床になるもので、スリマン
は新しい靴を万引きしてくるのです。


よりよき人生

それを問いただすヤンの姿を見ると、実は彼は実直な人間であり、
ただ単純なだけなのだとわかります。一方のスリマンの言い訳が
この子も悪いことを教えられて育った子供ではないことがわかる
のです。「同級生にもらってその子は昨日引っ越した」
ヤンが素晴らしいのは、これを店まで返しに行き、「買い取り」
を迫られるとちゃんとそれを支払ってくるところです。
「貧しいが泥棒はいない」

とは言っているくせに、その後、勤務先の冷蔵庫から食材を盗み
それを2人で売りさばくという行為もします。それでもヤンと
スリマンの絆は深まっていくのが、映像から伝わってくるのです。
この辺りは美しい自然と共に描かれ、醜い人間社会を忘れさせて
くれる時間です。
そしてマルクに店を格安で売り渡すように求められてしまう。
するとヤンは、なんと彼を待ち伏せし、数々の人々から搾取した
金を盗むために暴行を加えます。もろ犯罪じゃん。
見ている方では、弱者を食い物にする奴がやっつけられて気分が
いいけれど、その罪や残った借金をフランスにそのまま置いて
カナダへ渡るヤンとスリマンの姿はちょっと違和感あり。まあ、
どっちもどっちかな。空港で出国できるかどうかはスリルがあった
けれど、ここも引きずることなくすぐに飛行機に乗れます。


よりよき人生

カナダで捜し当てたナディアの所在は、なんと刑務所の中でした。
わたしはてっきり売り飛ばされてどこかで死んでいるのだろうと
思ったので、彼女の罪を聞いて少しほっとしました。

マルクから盗んだ金も結構あるし、家も借りたし、仕事も見つかる。
これからこの地で3人は少しまともな生活を送れるのかな。
ちょっと不安だけど。



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パリよ、永遠に

3
JUGEMテーマ:洋画

パリよ、永遠に

「パリよ、永遠に」
原題:Dipbmatie
監督:フォルカー・シュレンドルフ
2014年 フランス=ドイツ映画 83分
キャスト:アンドレ・デュソリエ
     ニエル・アレストリップ
     チャーリー・ネルソン
     ジャン=マルクルロ
     シュテファン・ビルケニング

第二次世界大戦末期、敗戦色の強いナチスドイツ軍は
連合軍の侵攻を食い止めるため、パリ壊滅命令を出す。
指揮を執るコルティッツ将軍の元へ、作戦の中止を
求めてノドリンク総領事がやって来るが...。

<お勧め星>☆☆☆ 渋い映画で、序盤から睡魔に襲われ
ますが、後半は話に入り込めました。


第二次世界大戦末期、連合軍のノルマンディー上陸後、
敗戦色が濃くなったナチスドイツ軍は、ヨーロッパの破壊
を命じるのです。ヒトラーは特にパリの壊滅を強調したと
のこと。それはパリの失陥はフランスの失陥であり、ドイツ
軍の敗北を象徴すると見たからだそうです。
そしてそのパリの街並みや建造物を守ろうと、その作戦の
中止を進言するスウェーデン総領事ラウル・ノドリンクと
ドイツ軍将軍ディートリッヒ・フォン・コルティッツの
やり取りが、緊迫していくドイツ軍の情勢と共に描かれます。
もともとが舞台劇なので、場面は2人のいるホテルの一室と
起爆装置のある地下壕がほとんどで、序盤はかなりダルい。


パリよ、永遠に

パリよ、永遠に

ノドリンクは、スウェーデン人でありながら、生粋のパリっ子
であり、この町をこよなく愛しているのです。その彼は必死で
コルティッツを説得します。この駆け引きは、コルティッツが
指令を出していたホテルのスイートルームの思わぬ場所から
ノドリンクが登場した時から始まります。フランス将軍からの
手紙も破り捨て、あくまでも作戦遂行を考えるコルティッツと
穏やかにそして巧みに彼を説得するのドリンク。ノドリンクの
妻は実はユダヤ人であり、ジュネーブへ既に脱出していること
を話すと、遂にコルティッツも、彼が親族連座法(命令を遂行
しなければ家族も罪に問われる)という無謀な法に縛られて
いることを告白するのです。

この告白を引き出すと、ノドリンクはコルティッツにある提案
をします。この辺りに駆け引きがまことにうまく、外交とは
こうあるべきだと実感するのです。誰も損をしない結論を出す。
それが外交であり、単なる脅しやその場限りの損得に囚われて
はいけないのですね。
2人のやり取りと同時進行で起爆装置付近での緊迫した状況も
映り、なかなか見ごたえのあるものになっています。


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おみおくりの作法

4
JUGEMテーマ:洋画

おみおくりの作法

「おみおくりの作法」
原題:Still Life
監督:ウベルト・パゾリーニ
2013年 イギリス=イタリア映画 91分
キャスト:エディ・マーサン
     ジョアンヌ・フロガット
     カレル・ドルーリー
     アンドリュー・バカン
     キアラン・マッキンタイア

孤独死した人を埋葬する民生係のジョンは、担当した
人物を丁寧に調査し、自ら葬儀を行っている。ある日
彼のアパートの向かいの部屋の男が孤独死し、さらに
彼は人員整理のために解雇通告を受けてしまう...。

<お勧め星>☆☆☆半 静かな映像とBGMでしっとりと
心に入り込む映画です。


原題Still Lifeは「静かな人生」と「今も続く生」の意味
がこめられているそうです。主役のジョン・メイ役は
「アリス・クリードの失踪」(2009)「フィルス」(2013)
など数々の映画に出演しているエディ・マーサン。


おみおくりの作法

撮影当時45歳という計算になるけれど、かなり老けて見える
のは小柄で頭髪もやや薄目だから?この映画のように哀愁
漂う男性も演じられるし、「ワールズ・エンド 酔っぱらいが
世界を救う」(2013)のようなコメディにもバッチリという
演技力の持ち主です。
ロンドン、ケニントン地区の民生係ジョンは、身寄りがない
遺体を丁寧に親族がいないか調査し、できるだけ故人の宗教や
好みに合わせた葬儀をとり行っているのです。それは、遺品を
チェックしてお別れの言葉まで作成するという手の込みよう。

彼の几帳面な性格は、きれいに整頓されたファイルや彼の
オフィス、そして自宅での食事風景でも伺えます。どこの国
でもあるように、疎遠だった親族は、たとえそれが実の親で
あっても、最後のお別れにすら参列しないという人々もいる
ので、結局ジョンが一人でおみおくりをします。
実はジョン自身も身寄りがなく、彼は自分のアパートの向かい
に住む男性が孤独死したことを知り、かなりショックを受ける
わけです。ついでに嫌な上司プラチェットには、人員整理の
ため、解雇通告を受けてしまう。映画の終盤に、後任のピルジャー
が、まるで流れ作業のように遺骨を埋葬していく姿を見ると、
身寄りがないのは、故人の生前の行いに起因しているとはいえ、
あの扱いは故人に対して失礼じゃないだろうか、と思ってしまい
ます。

そしてジョンは最後の仕事として、向かいに住む男の身寄りを
捜し始めるのです。それはつまり、故人の人生を遡る作業であり、
ビリー・ストークと判明した男を深く知る作業となります。
実はそこまでする必要はなかったのですが、ジョンは自分の
仕事の集大成としてそれを独断でし始めたのです。彼が行く
先々で聞くのは、ジョンの粗暴な性格であり、彼が刑務所にも
出たり入ったりしていたことがわかってきます。ビリーは最初
からそういう人間だったのか。


おみおくりの作法

ジョンはさらに調査を進めると、彼の娘の存在もわかるのです。
ケリー・スターク役は「フィルス」でも共演している
ジョアンヌ・フロガット。TVドラマの「ダウントンアビー」
でも有名だそうですが、ドラマは見ていません。彼女の口からも
ビリーの暴力的な性格が語られますが、そこから酒浸りになった
原因はフォークランド紛争での悪夢のような体験だと知ると、
ジョンは感慨深げになるのです。この時のジョンの気持ちは
映像で見て察するしかありません。ただ、オフィスでビリーの
真似をしようとしたり、ビリーがやったことを、大嫌いな
プラチェットの愛車にしてやったりと、まるでジョンはビリー
になったような気分に見えるのです。

ただラスト付近は、かなり不条理であり、ジョンが望んだこと
であっても、受け入れがたい気持ちが残りました。
「遺体 明日への十日間」(2013)でも遺体への丁寧な扱いが
描かれましたが、遺体になっても丁寧に扱い、言葉をかける
ことで「人間としての尊厳」を取り戻していくのだと感じます。
死生観が異なる国なので、考えは微妙に違うかもしれませんが。


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あと1センチの恋

4
JUGEMテーマ:洋画


あと1センチの恋

「あと1センチの恋」
原題:Love,Rosie
監督:クリスチャン・ディッター
2014年 イギリス=ドイツ映画 103分
キャスト:リリー・コリンズ
     サム・クラフリン
     クリスチャン・クック
     スキ・ウォーターハウス

イギリスの田舎町。幼なじみのアレックスとロージーは
ボストンで学ぶことを夢見ている。しかしロージーは
思いがけず妊娠してしまい、アレックスと別々の人生を
歩み始めるのだった。

<お勧め星>☆☆☆ 少女漫画の世界のような映画ですが
たまにはいいかな。


もう胸キュンなのです。すれ違う心、絶妙にズレるタイミング。
2人の仲を阻む男女の登場など、これでもかというほど2人
は親友以上恋人未満のまま話が進むのです。映像的には日差し
がとても上手に取り入れられており、どこか昔を思い出させる
ような雰囲気を漂わせます。
ただ、内容的にはハードなものもあるのと、未成年の飲酒
シーンがあることでPG12になっているのでしょうか。


あと1センチの恋

イギリスの田舎町。6才から仲良しだったアレックスと
ロージーは、高校に行っても何でも話せる間柄なのです。
ロージー役は太い眉毛がチャームポイントのリリー・コリンズ、
アレックス役は「スノーホワイト」(2012)の王子役
サム・クラフリンです。

12年前ロージーは高校のパーティーで泥酔し、アレックスに
介抱されます。どうやらその時、とても重要なことがあったのに、
泥酔し、ゲボッたあげく病院のお世話になったロージーは記憶
が全然ないし、そもそも思い出したくない出来事になっている
のです。わかるわあ、飲み過ぎて、もどして記憶がなくなる
ことって、後から思い出したくもないのよね。ああ恥ずかしい。
そこから始まる2人のすれ違う気持ちは、互いにあてつけるかの
ように他の人と初体験を済ませ...あら?ロージーは大変なこと
になってしまいます。


あと1センチの恋

ロージーの相手は学年の人気者だけどチャラい男グレッグ。
アレックスの相手はベサニーというブロンド美人です。
ベサニー役のスキ・ウォーターハウスは、ブラッドリー・クーパー
の元恋人だって。


あと1センチの恋

父親が美容整形外科医と聞くとなんか人工的な美貌を感じて
しまうのは偏見かしらん。

アレックスもロージーもボストンの大学に合格したのに、
ロージーの妊娠が発覚します。1人ボストンへ向かうアレックス
を見送ってロージーはケイティという娘を出産、シングルマザー
として生き始める道を選択するのです。ちなみにグレッグは
妊娠が分かった途端逃げたという卑怯者扱い。

子育てに追われるロージーとボストンでやっぱり金髪美女サリー
を恋人にするアレックスの姿が交互に映り、それでも交流を
続ける2人の姿はクリスマスカードなどで描かれていきます。
アレックスの見る変な「夢」の話を理解できるのはロージーだけ
という点を強調しておくところがあざといな。

アレックスがサリーとうまく行かなくなる頃、ロージーは娘の
実父グレッグと結婚するというすれ違いは続きます。ロージー
は優しい両親やルビーという友人に恵まれ、大きな困難も彼ら
の力で乗り切るのです。この辺りはうまく行き過ぎかな。
そして最終的には2人はどうなるか。
とりあえずこんな都合のいい話はそうそう転がっていないという
ことを肝に銘じておきましょう。



     

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