俺の笛を聞け

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俺の笛を聞け

「俺の笛を聞け」
原題:Eu cand vreau sa fluier,fluier
監督:フローリン・サーバン
2010年   ルーマニア=スウェーデン=ドイツ映画   94分
キャスト:ジョルジェ・ビステラーヌ
     アーデ・コンデスク

少年院の出所を2週間後に控えたキシカンの元へ弟が面会に
やって来る。彼から母親がイタリアから戻ってきたことを聞いた
キシカンは、弟がイタリアへ連れて行かれるのではないかと不安で
たまらくなるのだった。

俺の笛を聞け

キシカン・シルヴィウは18歳。4年間の少年院収容生活を経て、
2週間後には晴れて出所することになっているのです。映画内で
少しずつ紐解かれていく彼の人生は、男に振り回される母親と
その母親の都合で、父と母の間を行き来させられ続けたという
極めて不遇なものだったのです。彼の唯一の希望は、弟マリュス
に同じ運命を味あわせたくないというもの。しかし、突然面会に
やって来たマリュスは、母がイタリアから帰ってきて、一緒に向こうに
行こうと言っている、と語ります。母についていきたいのか、ときつく
問いただしたり、マリュスがどうやってここまで来たのか、禁止区域
に入ってまで確かめに行くキシカンの心は、弟が同じ運命をたどる
のではないかという不安でいっぱいです。全編が薄暗い映像で、
寒々しい印象を受け、手振れのあるカメラで映した映像は、キシカンの
心そのもののようです。親の愛というものを知らないで育った彼の
歪んだ精神の表れかもしれません。

俺の笛を聞け

キシカンは4年間模範生であったのに、このことが原因となって、
大きく変化をしていきます。少年院内での生活がしばし映り、そこでの
厳しい規律や少年間の力の構図も見せていき、キシカンの心の変化が
手に取るようにわかってきます。
また出所テストの面接官のインターン、アナへの淡い恋心は、今まで
何一つ思い通りにならなかった自分の人生への怒りと重なって、遂に
爆発へと向かいます。
キシカンの表情のない演技と大人ぶって見せる仕草が、幼さの残る後ろ姿
と対照的に映り、彼自身のアンバランスな心の内さえも見せているようです。


俺の笛を聞け

出演者の中には刑務所経験者もいたとのことで、彼らの瞳の奥の闇が
映画の雰囲気を盛り立てます。
母とのけじめとアナと飲む1杯のコーヒー。

俺の笛を聞け

「お代わりを頼んでおいてくれ。」
とさりげなく席を立つキシカン。本当は頭の良い繊細な心の持ち主だった
と感じられました。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆


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最強のふたり

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JUGEMテーマ:洋画
 

最強のふたり

「最強のふたり」
原題:Intouchables
監督:エリック・トレダノ
   オリビエ・ナカシェ
2011年  フランス映画   113分   PG12
キャスト:フランソワ・クリュゼ
     オマール・シー
     オドレイ・フルーロ
     アンヌ・リレーニ

パリ在住の富豪フィリップは、頚椎損傷の事故で、首から下の
感覚がない。その彼の介護人の面接へ、ドリスという男がやって
来る。彼は失業手当のために応募しただけであったが、そんな
彼をフィリップは気に入ってしまうのだった。

最強のふたり

この映画は実在の人物を基に...というくだりは、映画の冒頭では
数多く見られ、ラストに今の彼らの様子が字幕で映るという最も
ありきたりの終わり方です。しかしその内容は、お涙ちょうだいとは
全く正反対の形で描きながら、心を深く温めてくれるストーリーです。

最強のふたり

冒頭、こんなかっこいい車、マセラティ クアトロポルテの豪快なエンジン音
とともにパリ市内を爆走するフィリップとドリス。2人は追いかけてくるパトカー
の行動や警官の態度などで賭けをしながら大笑いしているのです。このシーンは
フランス国内での移民への差別がかなり現れているし、おそらくは本当にこのような
扱いを受けるのでしょう。でもそれを2人がどちらも気にしないのです。
パリに住む富豪フィリップは、かつてパラグライダーに乗っていて事故に遭い、首
から下の感覚がありません。それ以外は何でも手に入る彼にとって、実は普通の
男性として皆に扱ってほしかったのです。妻を亡くし、養女に手を焼く彼にとって、
「腹を割って話せる相手」は周りには存在しなかった。一方、前科持ちでかつ貧しい
家庭出身のドリスは、失業保険の延長のためだけに、フィリップの介護人に応募
してきたのです。

最強のふたり

2人には月とスッポンと言っていいほどの違いがあり、それは持ち物から、考え方、
音楽の趣味に至るまでどこをとっても重なる部分がありません。身体が不自由で
あることによって、同情、偽善をうけまくっていたフィリップは、ドリスの容赦ない
行動や言動がすっかり気に入ってしまいます。最初は、金持ちの道楽のように
興味本位だったかもしれません。ドリスは、医療や介護の知識も資格もないので
無神経な発言をポンポンくり出すし、極めて危険な行動もとってしまいます。
この辺りは、やりすぎ感もありますが、ここまでリアルに描いた方が、人々の心に
伝わると思うのですよ。アメリカ映画では決してできない内容です。
毎年あるTV局が放送する、チャリティー番組の胡散臭さ、偽善に満ちた演出なぞ
これを見たら影も形もなくなるぞっと。
すごくすっきりします。オブラートに包んだ関係ではなく、お互いが対等の人間として
接しあうことこそが、大切なのですね。

最強のふたり

ラストのドリスの粋な計らいも、一度はあきらめたフィリップの夢の実現のため
であり、彼が真っ白い歯を見せて大笑いする姿で、フィリップは緊張がほぐれて
いきます。こんな関係はすてきだな、と思わせる映画でした。

<マープルの採点。
お勧め星  ☆☆☆☆


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明日からいよいよ雨のようです。梅雨入り間近かな。

ソハの地下水道

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ソハの地下水道

「ソハの地下水道」
原題:the darkness
監督:アニエスカ・ホランド
2011年  ドイツ=ポーランド映画   145分
キャスト:ロベルト・ビェンツキェビチ
     ベンノ・フユルマン
     アグニェシュカ・グロホウスカ
     マリア・シュラーダー

ナチス占領下のポーランド。地下水道で働くソハは、相棒と共に
盗品を隠しては生活費に充てる日々を送っていた。ある日彼は
ゲットーから穴を掘って逃げ込んだユダヤ人たちと遭遇する。
ソハは彼らの金品を目当てに、生活支援を始めるが...。

ソハの地下水道

見終わってしみじみと感動する映画です。
ナチスの暴挙を描いた映画は、本当に数えきれないほどあり、秀逸な
作品が多いのですが、これもその一つと言えます。特に、ナチスの残虐な
行為をできる限り少なく映し、その上で人間としての善とは何かを訴えて
いるものになっています。

ソハの地下水道

原題「the darkness」にある通り、地下水道に隠れ住んだユダヤ人は
生き抜くことができたものは14カ月もの間、日光を浴びなかったのです。

ソハの地下水道

ナチス占領下のポーランドで、ソハはシュチェペクと共に地下水道の点検と
称して、盗品を隠しては、それを生活費に充てていました。
冒頭全裸のユダヤ人女性たちが森の中を逃げ回り、その後に響く銃声、
その後シーンは変わってユダヤ人を収容所送りにするため、ゲットーへ侵攻
するナチスと、その住居に作ったトンネルで地下水道へ逃げ込むユダヤ人が
たたみかけるように映ります。
「地下なんていやよ。」
まだ地上に希望を捨てていない人々は叫びます。嫌がる子供も無理やり地下へ
と押しこむ親たち。その中には不倫がバレていさかいを始める夫婦までいるのです。
彼らが下りた地下水道にいたのは、ソハたちでした。
ソハはキリスト教信者であり、ユダヤ人を救う気持ちなど全くなかったはずです。
しかし、彼らの金品を目当てに、隠れ場所を提供することになります。この頃の
ソハの姿は、いかにも卑しく見えてしまうのです。

ソハの地下水道

地面を隔てて、声を殺して隠れるユダヤ人と軍靴のナチスが映り、またラスト
にはキリスト教会で聖体拝領をうけるソハの娘の姿と、大雨で溺れかける
ユダヤ人が映ります。この対照的な映し方はとても印象に残ります。
そして彼らを援助するうちに、次第にソハ自身の心が変化していく様子も
真に上手に描かれています。勢いで殺してしまったナチスのために何十人もの
ポーランド人が殺され、その中にシュチェペクもいました。さらに地下水道では
出産する女性も現れるのです。こんな過酷な状況下での出産を目の当たりに
すると「命」というものの輝きが一段と感じられます。
ソハに渡す金が尽きたユダヤ人に
「金をもらわないで支援しているとは思われたくない。」
と自らの金を渡して、支払わせるソハ。彼のプライドでしょうか。
人間は神を利用してまで人を罰したがる。
この言葉の重さを今こそ考えるべきですね。
ヨーロッパ映画ならではの、繊細な描写が光る作品でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆



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今日も寒かったなあ。

麦の穂をゆらす風

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麦の穂をゆらす風

「麦の穂をゆらす風」
原題:The Wind That Shakes The Barley 
監督:ケン・ローチ
2006年   アイルランド=イギリス=ドイツ=イタリア=スペイン映画
        126分

キャスト:キリアン・マーフィー
     ポードリック・デイレーニー
     リーアム・カニンガム

1920年、アイルランド。デミアンは、医者としてロンドンの病院で
働くことを取りやめ、IRAのメンバーとしてイギリス軍と戦うことを
決意する。彼は兄テディに従い、次々とゲリラ戦を展開していく
のだった。

麦の穂をゆらす風

この映画の撮影は、アイルランド南部の州、コーク州で行われたそうです。
その題名通り、一面にわたって麦の穂が揺れ、アイルランドの伝統曲、
「麦の穂をゆらす風」が流れる中、映画は進んでいきます。

麦の穂をゆらす風

1920年、デミアン達は村の友人、兄達とともに、ハーリングを楽しんでいます。
彼はロンドンで医師として働く日を控え、村の人々に別れを告げていきます。
ところが突然訪れたイギリス兵によって、デミアンが心を寄せるシネードの弟
ミホール(英語名がマイケル)が殺害されるのです。さらにロンドンへ向かう駅で
イギリス兵の横暴な行動を目の当たりにした彼は、義勇軍つまりIRAの一員と
なることを決意します。IRAと聞くと、かつて列車や建物を爆破したテロリスト集団
というイメージしかありませんが、この映画を見るとそこには深い理由があること
がわかります。いったんは自治領独立として認められたアイルランドの自治法が、
第一次大戦によって全て凍結され、さらに戦争終了後もイギリス領のままであり、
イギリス本国が決めた法によってアイルランド国民は搾取され、暴力、殺害行為
を受け続けていたのです。

麦の穂をゆらす風

英国兵は彼らを「汚い」「田舎者」と蔑み、IRA側は「イギリスは資本主義の手先」
とののしっていました。報復に次ぐ報復で、遂にテディを含めダミアン達もイギリス
軍に逮捕されます。正当な裁判もなく、テディは爪をはがされる拷問を受け、翌日
には銃殺刑が待っている。こんな人間とは思えないような行為が平気で行われる
のが戦争なのです。デミアン役は「TIME/タイム」(2011)でタイムキーパーを
演じたキリアン・マーフィー。しばしば悪役を演じる彼ですが、この映画のような
賢く意志の強い役もまことにはまり役です。
何とか仲間の手引きで脱走したテディ、ダミアン達は、彼らの隠れ家を話した
クリスという少年を処刑します。彼はデミアンの幼なじみであり、クリス自身も脅されて
白状しただけなのですが、組織のトップの意向は絶対なのです。クリスの死を
彼の母に告げに行ったデミアンは、「二度と目の前に現れないで」と言われます。
このセリフはラストにも聞かれます。

麦の穂をゆらす風

さらに英愛協定が批准され、北アイルランドを除くアイルランドが独立します。
しかしこれは今まで仲間だった者たちの分裂をも意味するのです。つまり完全独立
をめざすものと、この状況に妥協し、とりあえずイギリスの支配から逃れたことを
喜ぶものです。粗末な武器でゲリラ戦を戦った仲間が、今度は敵味方に分かれ、
同じ国内で戦い始めるのです。
「それだけの価値があるのか」
クリスを銃殺した時のデミアンの言葉です。
そして自由国軍兵士となったテディに対し、デミアンは
「仲間を裏切れない。何のために戦うのか」
と問いかけます。
イギリスの支配からの独立だった戦争が、アイルランドの内戦となり、かつての仲間、
友人、そして兄弟をも引き裂いてしまいした。教会さえ、IRAを疎外します。
平和、自由を求める気持ちは同じだったのに、どこで分かれてしまったのでしょうか。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆




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今日は絶好の行楽日和。回転ずしに行きました。

昼下がり、ローマの恋

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昼下がり、ローマの恋

「昼下がり、ローマの恋」
原題:manuale d'am3re
監督:ジョバンニ・ベロネージ
2011年   イタリア映画   126分
キャスト:ロバート・デ・ニーロ
     モニカ・ベルッチ
     リッカルド・スカマルチョ
     カルロ・ベルドーネ

ローマのとあるアパートの住人達に様々な形の恋が訪れる。
ある者は、田舎町へ仕事に出かけた恋人の帰りを待つうちに
愛を再確認する女性。ある者は、精神を病みながら、有名
キャスターにアタックする女性。そしてアメリカから移住した
老教授は思いがけず親友の娘に恋心を抱くのであった。

昼下がり、ローマの恋

ロバート・デ・ニーロがイタリア映画初出演を果たした作品で
モニカ・ベルッチと共演しています。
映画は「恋のタクシー運転手」という可愛い男性が、案内人として
ストーリーが進んでいきます。軽やかなBGMと南欧の明るい日差し、
美しい自然や建造物等と共に、時にコミカルに時にしんみりとした内容が
次々と繰り出されていきます。

「青年の恋」

昼下がり、ローマの恋

サラと結婚を控えたロベルトは、弁護士として一人前になるために、
トスカーナ州で立ち退きを拒否している農場主の家を訪れるのです。
野心に燃えて向かった彼が目にしたのは、底抜けに明るく、のんびり
した村人とミコルという美しい女性です。
「身の丈以上のことはのぞまない」
村人の言葉にロベルトは次第に自らの心を解き放って行きます。海に
入り、
「連れ去るなら今だ!」
と叫ぶ彼の姿は、これから現実に戻っていく自分への決意でしょうか。

「中年の恋」

昼下がり、ローマの恋

人気キャスターのファビオは、あるパーティーで知り合ったエリアナと
深い関係になるのですが、実は彼女には大きな秘密があり...。美しい
エリアナ(本当はガイアです)の要求に応じて猫の真似をしてじゃれ合う
シーンは必見です。確かにヅラだと思ったのよね〜。実はこの映画では
最もかわいそうな役柄なのに、なぜか笑えてしまう。


「熟年の恋」

昼下がり、ローマの恋

心臓移植手術受けた老教授エイドリアンは、妻に去られ、一人イタリアに
移住するのです。そのアパートには、友人アウグストや行き遅れ姉妹など
が住み、にぎやかな日々を送っています。実はこのアパートはサラやエリアナ
も住んでいるのです。つながったー!
そしてパリのブティックで働いていたアウグストの娘ビオラが戻ってきたことで、
エイドリアンの再生したハートは活動を再開してしまいます。モニカ・ベルッチの
豊満なバストはやはりサービスカットがありました。またロバート・デ・ニーロの
コミカルな演技も見ものです。
全体的に能天気な内容ですが、お洒落にまとめてあり、見終わって気分がよく
なる映画でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆



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まだまだうぐいすが頑張っています。

デビルズ・ダブル ある影武者の物語

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デビルズ・ダブル

「デビルズ・ダブル ある影武者の物語」
原題:the devil's double
監督:リー・タマホリ
2011年   ベルギー映画   109分   R18+
キャスト:ドミニク・クーパー
     リュディビーヌ・サニエ
     フィリップ・クアスト

ラティフは、イラク大統領フセインの息子ウダイから、自分の影武者に
なるように命令される。彼はウダイの全てを真似し、整形手術さえ受けて
ウダイになりきろうとするが、彼の残虐な性格を知るにつれて、次第に
逃亡を考え始めるのだった。

デビルズ・ダブル

フセイン大統領の長男ウダイ役と彼の影武者となるラティフ役をドミニク・クーパー
が一人二役で演じています。2人の全く異なる性格を見事に演じており、ウダイの
時の甲高い声、短気で残酷な性格、女、酒、ドラッグに溺れる姿と、ラティフの時の
きわめて真面目に国を愛し、家族を愛する姿は見ごたえがあります。
「マンマ・ミーア!」(2008)ではいまひとつだった印象も全く変わりました。
既にアメリカ軍によって殺害されたウダイは、実際、異常なほど残酷な性格を持って
いたことは周知の事実です。その姿はスクリーンからもしばしば映し出され、帰宅
途中の中学生を連れ去り、暴行、殺害、彼に反発した父の親友を刀とピストルで
惨殺するシーンはその行動の異常さを強く印象づけます。父親にさえ
「生まれてきた時に殺すべきだった」
と言わしめるほど人間性のかけらもない人物なのです。

デビルズ・ダブル

時はイラクのクウェート侵攻、そしてそれに対抗したアメリカ軍の攻撃で始まった
湾岸戦争のさなか。民衆の大統領に抱いていた希望はことごとく砕かれていきます。
暴君のドラ息子は、メルセデス、ポルシェなどを乗り回し、酒、女、ドラッグに溺れて
いる。ウダイの代わりに演説するラティフをテレビニュースで見て、高笑いするウダイ
はまさに狂人そのものですね。また同じ人物が演じているとはいえ、ラティフがウダイ
を真似しようと苦労する姿もとても上手に描かれています。
映画の中でウダイのお気に入りの女性サラブがラティフとも心を通わせていく姿が
映りますが、このリュディビーヌ・サニエは「8人の女たち」(2002)ではまだ可愛い
姿でした。結構ふけましたねえ。

デビルズ・ダブル

ラティフはウダイの異常さに嫌悪感を覚え、何とか彼の元から逃げ出したいと考える
のですが、それはラティフの家族の身に危険が及ぶことを意味するのです。

デビルズ・ダブル

ラストの市場で、いつも通りナンパしているウダイに近づく人影、そして始まる銃撃戦
はスローモーション映像をうまく交えてスリルのなるものになっています。
権力者の元で運命を翻弄された人々がどれだけいたことか思い知らされる映画でした。
戦闘シーンは極めて少なく、ウダイの狂気をとことん描ききっていると思います。

<マープルの採点>
お勧め星    ☆☆☆☆


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今から犬の散歩。日没が遅くなりました。

キャラメル

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キャラメル 

「キャラメル」
原題:sukkar banat/caramel
監督:ナディーン・ラバキー
2007年   レバノン=フランス映画   96分
キャスト:ナディーン・ラバキー
     ヤスミーン・アルーマスリー
     ジョアンナ・ムカルセル

ベイルート市内のとある美容室で働くラヤールは、妻子ある男性ラビー
と不倫中である。同じく美容師のニスリンは、バッサムと婚約中だが、
ある悩みを抱えている。もう一人の従業員リマは、最近通ってくる黒髪
の女性が気になって仕方がないのだった。

映画に出演しているのは女性が中心で、特に美容院で働く3人とその
友人、そして近所の初老の女性のストーリーが交互に映しだされて
いきます。
ラヤール:中東の女性特有の彫の深い美女ですが、妻子あるラビーと
不倫中で、彼が鳴らすクラクションを聞くと、仕事も放って出かけていく
のです。

キャラメル

ニスリン:バッサムという婚約者がいて幸せの絶頂のはずなのに、実は
彼が最初の男性ではないことを悩んでいます。敬虔なイスラム教徒である
彼女は、皆の協力を得て、何とか再生手術を受けるのですが、結婚式前日に
彼女の親が、娘に初夜の話をするシーンはちょっと笑えます。

キャラメル

リマ:スカートなんてはいたことがない少年のような女性。最近やってくる
長い黒髪の美しい女性が気になって仕方がないのです。

キャラメル

ジャマル:夫に逃げられ、2人の子供を育てながら、様々なオーディションを
受けています。「私、今アレなの。」その事実を激しくアピールした意味は、
そうか、そうだったのねえ。この言葉が見栄だと気づく頃には映画は終わって
いました。


キャラメル

ローズ:リリーという認知症かつ収集癖のある姉と暮らし、仕立て屋を営んで
いるのですが、そこへチャールズという老紳士が仕立てを注文にくるのです。
お互いに心惹かれながら、どうしてもリリーの存在を消すことができないローズ。
各々が様々な悲しみ、悩み、怒りを抱え、毎日を過ごしていきます。ラヤールが
ラビーの妻の足の爪を磨くシーンは彼女の屈辱を印象づけました。その前に
この妻が、夫の不倫相手を確かめに美容室に来て、足の脱毛をしてもらうシーン
も女のバトルという感じです。足に塗ったワックスを目いっぱい引きはがす。
顔をしかめるけれど、我慢し続けるラビーの妻の妻という座にいる誇りが伺えます。
そんなことはつゆ知らず、とっくに忘れた頃に、美容室の前でクラクションを鳴らす
ラビーは、全くアホですなあ。
女は強いのです。様々な宗教が入り乱れるレバノンの中で、たくましく生きていく
女性たちの姿がものすごく上手に描けていました。
音楽も心地よいものです。


<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆




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カーブスの後、かつ丼食べたら同じかな(-_-;)

少年と自転車

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少年と自転車

「少年と自転車」
原題:le gamin au velo
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
   リュック・ダルデンヌ
2011年   イタリア=フランス=ベルギー映画   87分
キャスト:セシル・ドゥ・フランス
     トマ・ドレ
     ジェレミー・レニエ

シリルは彼を施設に預けたまま行方知らずの父に会うため、学校を
抜け出す。そして後を追ってきた教師らから逃れるために入り込んだ
団地のクリニックで、サマンサという女性にしがみつく。シリルが自分の
自転車を捜していることを知った彼女は、売られたその自転車を
買い戻し、彼の元へ届けるのだった。

少年と自転車

冒頭から施設の職員の制止も聞かず、父に電話をかけ続けるシリルが
映ります。彼は、父ギイに施設に預けられたのですが、彼の自転車や
父の所在を知りたくてたまらないのです。彼の生い立ちの細部は一切
わかりません。ただ父以外に身寄りがなく、その父が金に困って、団地を
出て、自分のバイクやシリルの自転車さえも売ってしまったようです。。
そして父を捜して学校から抜け出したシリルが、とっさに逃げ込んだ団地
のクリニックの患者がサマンサ。この役はセシル・ドゥ・フランス。日焼けした
健康美と絵画のような美貌は健在です。彼女はシリルの自転車を買い戻し
てくれたのですが、シリルは「その自転車は盗まれたんだ。」と信じきって
いるのです。父に捨てられたことを信じたくない少年の心に残るかすかな
希望の糸が1つ、また1つと切られていく時、少年は時には自傷行為をし、
時にはサマンサに立ち向かいます。

少年と自転車

ようやく見つけた父には「重荷なんだ」と言われ、「もう会いに来るな」とまで
言われてしまう。そしていかにも悪そうな年長の少年に優しい言葉をかけられ
それを信じて強盗を働くのです。彼は自分を求めてくれる人がほしかった
のでしょう。

少年と自転車

しかしその強盗の際、顔を見られたことを知った少年は、「全てお前がやった
ことなんだ」と言い、彼を車から放り出すのです。絶望の中で彼が帰る場所は
サマンサの家しかなくなっていました。そういうサマンサも恋人ジルに
「俺とシリルのどちらを選ぶ?」
と言われ、シリルを選ぶという究極の選択をしていたのです。彼女の中にも
母性が目覚めていたのでしょうか。
シリルが盗んだ金を持って父の元へ向かった時、父はその金を受け取りません。
それは自らの保身のためなのか、それとも息子に善悪を教えるためなのか。

少年と自転車

サマンサの元へ戻り、シリル自身も自らが起こした罪を深く反省します。
こうして少年は大人になっていくのだと思いました。強盗に遭った被害者の
息子がシリルに暴力をふるっても彼は抵抗しません。そんな彼には戻る場所
つまりサマンサの家があるのです。
唐突なラストも余韻を残すものでした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆



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昨日はいい肉を食べすぎて胸やけがした。やはり普段の肉でいい。

ある秘密〜愛に焦がれて〜

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ある秘密

「ある秘密〜愛に焦がれて〜」
原題:un secret
監督:クロード・ミレール
原作:フィリップ・グランベール 「ある秘密」
2007年   フランス映画   110分
キャスト:セシル・ドゥ・フランス
     ソユディヴィーヌ・サニエ
     マチュー・アマルサック
     パトリック・ブリュエル

1985年、フランソワの父マキシムが犬の後を追って家を出て
行方が分からなくなる。その知らせを聞き、父の所在を捜すうちに
フランソワは、かつての出来事を次々と思い出していく。それは
美しい母タニアと父との隠された秘密であった。

ある秘密

戦前の回想シーンは、カラーで、1985年のシーンはモノクロになって
います。そしてラストに現在のフランソワが娘と過ごす時間は、再び
カラー映像です。そこには全てを受け入れ、穏やかな心を取り戻した
彼の姿が反映されているようです。
まず、タニア役の「ヒア アフター」(2010)のセシル・ドゥ・フランスの
完ぺきなまでの美しさがすばらしいです。映画内で幾度となく水着姿に
なりますが、程よく肉の付いた健康的な肢体と金髪のベリーショートが
この上もなくきれいです。

ある秘密

ストーリーはひ弱な少年、フランソワが体力自慢の父マキシムと
水泳選手だった母タニアに連れられてプールへやってくるシーン
から始まります。

ある秘密

当時、父の期待に沿えないフランソワは、自分のために強い兄を想像し
心の中でその存在を創り出していたのです。しかしそれに過敏に反応する
マキシム、さらに屋根裏部屋にあった箱に入れられたままのぬいぐるみを
見つけたフランソワに対し、ひどく動揺するタニア。これは向かいのおばちゃん
に聞きに行かないと...。彼は両親の親友で、マッサージ店を営むルイズに
とても可愛がってもらっていたのです。そしてそこで彼女から聞きだした話は
彼らの周りで起きたナチスによるユダヤ人迫害の暗い過去が隠されていました。
このひ弱なフランソワが映画内で一度だけ友人に暴力をふるいます。それは
その少年が「ユダヤの豚野郎」と言ってナチスの暴挙を描いたフィルムを見て
笑った時でした。
これだけ書くと、いかにも第二次大戦前後の暗い映画のように思われますが、
南仏の美しい自然、明るい日差しの下、繰り返し映る白い砂浜、プールの
青い水などで、心地よい映像に変わっています。さらに実は戦前にマキシムが
結婚していた女性アンナもとても可憐なのです。

ある秘密

しかし彼らは全員ユダヤ人であり、黄色い星をつけられ、いつしか出入り禁止の
場所が増えていくのです。アンナとマキシムの間に産まれたシモンは体が大きく、
運動神経は抜群で父の自慢でした。一方、フランソワは産まれた時から小さく
運動が大の苦手なのです。2人の存在はかぶることなく、時代が進んでいきます。
マキシム、アンナ、タニア、シモンそしてフランソワのたどる運命が、断片的に
映されながら、そこにある大きな苦悩と抑えられない愛を感じさせる映画でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆


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家でブロッコリーが好きなのは人間とチンチラのガリレオです。

ヴェラ・ドレイク

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ヴェラ・ドレイク

「ヴェラ・ドレイク」
原題:Vera Drake
監督:マイク・リー
2004年   イギリス=フランス=ニュージーランド映画   125分  PG-12
キャスト:イメルダ・スタウントン
     フィル・ディヴィス
     ピーター・ワイト
     ヘザー・クラニー
     エイドリアン・スカーボロー

第二次大戦後のロンドン。ヴェラは夫と息子、娘と共に貧しいながらも
幸せに暮らしていた。彼女はあちこちの家の家事を手伝っていたが、実は
秘密の仕事もこなしていた。

ヴェラ・ドレイク

働き者で世話好きで、家族だけでなく近所の誰からも愛され、信頼されて
いるヴェラのまわりにはいつも笑顔があふれ、まるで太陽のように輝いて
いあるのです。ヴェラ役のイメルダ・スタウントンが本当に芸達者で、汚れ
のない心の持ち主であることを見る者に印象づけます。
1950年の大戦の影が残るロンドンで、彼女たちは貧しいながらも必死で
生きているのです。
「ヴェラの心は黄金だ」
「いやダイアモンドなんだ」
ヴェラの夫スタンとその弟フランクが彼女について語ります。かぼちゃの
ような柄のカバーがかかったティーポットで、毎日家族のみんなに紅茶を
注いで回るヴェラを中心として、この一家は小さな幸せをかみしめていたのです。

ヴェラ・ドレイク

ところがヴェラには誰にも内緒にしているもう一つの仕事がありました。それは
幼なじみのリリアンの紹介する望まない妊娠をした女性の堕胎を行うことだった
のです。

ヴェラ・ドレイク

彼女は人を助けるため、と無償で引き受けています。リリアンが実はお金を
もらっていることなど、つゆ知らず。
この当時イギリスでは、1861年制定の人身保護法で、医師の診断なしでは
堕胎ができず、その診断を受けるためには莫大な費用がかかっていました。
貧しい人々は、食べていく当てがなくても出産するしかなかったのです。
ヴェラがどうしてこの仕事に入ったのかは、映画内ではほとんど触れていません。
おそらくは、彼女が過去に同じような体験をしたのでしょう。全てヴェラの笑顔で
丸く収まっていくのかのように思えました。
現在行われているアメリカ大統領選の争点にもなっている「中絶」という問題は
宗教もからみ、かなり難しいものです。しかし「レイプでは妊娠などしない」などと
いう全く根拠のない意見を述べる議員が存在するのには唖然としました。
この映画の中でも金持ちの娘がレイプされ妊娠します。しかしお金があることで
しっかりとした医師の診断を受け、清潔な病室へ入院できるのです。その一方で
薄暗い部屋で、粗末な器具と石鹸水で流産を促す処置を行うヴェラの姿が映り
ます。この時代、おそらくは後者の女性の方が多かったのではないでしょうか。
ヴェラはあくまでも「人を助けただけ」なのです。それが法律に触れることももちろん
承知だったはずです。
ところが彼女が処置をしたパメラという女性の容体が急変し、病院へ運び込まれて
しまうのです。遂にヴェラの行為が警察の知ることとなったのです。

ヴェラ・ドレイク

雪の降りしきる日、折しも内気な娘エセルがやっとレジーという男性と婚約
したお祝いの日に、非情にも警察が訪れます。彼女は涙を流しながら、全てを
家族に知らせなければならないことを悟り、さらにむせび泣くのです。これ以降は
ヴェラが小さな手で、くしゃくしゃのハンカチを握りしめながら、ひたすら泣き続ける
シーンが続きます。彼女にとって、その行為は犯罪ではなく、「人助け」の1つに
すぎなかったのです。しかし重大な犯罪であることも知っていた。
事実を知った息子シド、夫スタンの弟フランクの妻ジョイスは、ヴェラの行為
を強く責めるのです。その気持ちもわかります。彼女は確かに犯罪を行い、それ
によって人の命が脅かされたのですから。

ヴェラ・ドレイク

しかしヴェラは犯罪者とは程遠い、結婚指輪を外したことさえない、普通の主婦
なのです。何よりも家族を愛し、大事にし、それは近所の人、お手伝いに行っている
先の家でも理解されていました。
クリスマスの日、エセルの婚約者レジーがが
「最高のクリスマスだよ。」
とおそらくは本心を言葉に出します。戦争で家族を失ったレジーにとって、ここは
最高の場所だったのですね。ヴェラはその言葉に今度はうれしい涙を流すのです。
しかし、現実には彼女は収監され、一人欠けたテーブルで家族が紅茶を飲もう
とするシーンが映り、エンディングです。彼女がこの家の太陽であり、笑顔を誘って
くれていたことを印象づけていました。この家に再び笑顔は戻るのでしょうか。
ヨーロッパ映画特有の静かさの中で、心の機微を描いた作品でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆☆



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